スクリプト
Chapter 1 オープニング
皆さんこんにちは、ゲーム業界研究ポッドキャストへようこそ。今日は、モバイルゲーム市場の中でも特に収益効率が高い「4Xストラテジー」というジャンルについて深掘りしていきます。
タカシさん、こんにちは。4Xストラテジーって、何の略なんですか?あまり聞き慣れない言葉ですね。
いい質問ですね。4Xは「eXplore(探索)、eXpand(拡張)、eXploit(開発)、eXterminate(殲滅)」の4つのXから取った名前なんです。帝国を築いて拡大していくタイプのゲームですね。
なるほど、シミュレーションゲームみたいな感じですか。でも収益効率が高いってどういうことなんでしょう?
ここが驚くべきポイントなんですが、4Xストラテジーはダウンロード数では全体の4パーセントしかないのに、収益では21.4パーセントも占めているんです。
えっ、4パーセントのダウンロードで21パーセントの収益?それって5倍以上の効率じゃないですか!
Chapter 2 驚異の市場規模
そうなんです。2024年のストラテジーゲーム全体の収益は175億ドル、日本円で約2兆6000億円にもなります。その中でも4Xは約10パーセントを占めています。
2兆6000億円ですか。想像を超える規模ですね。成長率はどうなんでしょう?
2025年から2033年にかけて年平均7.8パーセントの成長が予測されています。2024年のダウンロード成長率は前年比14.5パーセント増でした。着実に伸びているジャンルですね。
右肩上がりの市場なんですね。具体的にはどんなゲームが人気なんですか?
Chapter 3 トップタイトルの驚異的な収益
まず圧倒的なのが「Last War: Survival Game」です。2023年8月にリリースされて、2024年の収益がなんと13.1億ドル、約2000億円です。
2000億円!1つのゲームでですか?しかも1年で?
はい。しかも2025年2月には生涯収益20億ドル、約3000億円を突破しました。1年半でこの数字です。2025年前半だけで8.95億ドル、前年比104パーセント増というペースです。
倍増のペースで成長し続けているんですね。他にも大きなタイトルはありますか?
「Whiteout Survival」も凄いですよ。2023年2月リリースで、2024年上半期だけで8.34億ドル。2025年後半には生涯収益30億ドルを達成しました。わずか2年半でです。
30億ドルって、日本円で4500億円くらいですよね。モバイルゲーム1本でそんなに稼げるんですか。
さらに長寿タイトルもあります。「Rise of Kingdoms」は2018年リリースで、生涯収益35億ドル超え。「Evony: The King's Return」は2016年から続いていて、2024年でも約3億ドルの収益です。
Chapter 4 なぜこんなに稼げるのか
でも、ダウンロード数が少ないのに収益が大きいって、どういう仕組みなんですか?
ここが面白いんですが、4Xストラテジーはプレイヤーの属性が特殊なんです。90パーセント以上が男性で、特に33歳から42歳の層が一般より13.6パーセント高い嗜好度を示しています。
30代後半から40代前半の男性が中心ってことですね。その層って、確かに課金力はありそうですね。
その通りです。さらに重要なのがセッション時間。ストラテジーゲームの平均セッション時間は50分以上なんです。一般的なモバイルゲームの中央値が5-6分なのに対して、10倍近く長いんですね。
50分!スマホゲームで50分プレイするって、相当ハマっている証拠ですよね。
興味深いのは、リテンション率は実は全ジャンル中最低水準なんです。Day 1で25.3パーセント、Day 30では約3パーセントまで下がります。
えっ、リテンション率が最低なのに収益が最高?それって矛盾してませんか?
いい着眼点です。残った課金ユーザーのLTV、つまり生涯価値が極めて高いんです。少数精鋭のヘビーユーザーが大量に課金するモデルなんですね。
Chapter 5 地域別の収益力
どの地域のプレイヤーが一番課金しているんですか?
実は日本が世界最高なんです。モバイルゲーム全体の年間ARPUで約480ドル。アメリカは124ドル、グローバル平均は60ドルですから、日本は平均の8倍もあります。
日本のプレイヤーってそんなに課金するんですか。ちょっと驚きです。
Rise of Kingdomsの例で見ると、韓国が1日あたりのARPU5ドル、中国が4.6ドル、アメリカが3.3ドルです。アジア圏のプレイヤーの課金力が特に高いですね。
アジア市場が重要なんですね。Last Warはどうですか?
Last Warはアメリカが最大市場で、生涯収益の33パーセント、約6.6億ドルがアメリカからです。ただ、これは市場戦略の違いによるものですね。
Chapter 6 参入障壁の高さ
こんなに稼げるなら、新規参入したいと思う開発者も多そうですね。でも、難しいんですか?
ここからが厳しい現実なんです。4Xストラテジーの獲得コスト、CPIはiOSで5.5ドル、Androidで4ドル。これはモバイルゲーム全ジャンルで最高水準なんです。
CPIって何ですか?
Cost Per Install、1ダウンロードを獲得するのにかかる広告費です。つまり、1人のユーザーを獲得するのに5ドル以上かかるということ。100万ダウンロードで50億円以上の広告費が必要になります。
50億円!それは個人や小規模チームには無理ですね。
しかも、Whiteout Survivalは54の地域で42万件以上の広告を展開しています。この規模のマーケティングが必要なんです。
競合も既に巨大ですしね。Last WarとWhiteoutが市場を支配している状態じゃ、新参者は厳しそう。
その通りです。さらに、長期開発期間、継続的なコンテンツ更新、大規模マルチプレイヤーインフラの構築も必要です。数十億円規模の投資が前提になります。
Chapter 7 インディー開発者への示唆
じゃあ、インディー開発者がストラテジーゲームを作りたい場合は、どうすればいいんでしょう?
モバイル4Xは正直、推奨しません。ただ、代替案はあります。一つ目は、PC向けインディー4Xです。Manor Lordsという成功例があります。
Manor Lordsって、中世の都市建設ゲームですよね。確かにあれは話題になりました。
二つ目は、4X要素を取り入れたハイブリッドカジュアルゲーム。軽量化して参入障壁を下げるアプローチです。三つ目は、SFや特定の歴史時代に特化したニッチ4XをPC・コンソール向けに作ること。
要するに、モバイルの正面突破は避けて、自分の強みを活かせる領域を探すってことですね。
まさにその通りです。市場規模が大きいからといって、そこが最適な戦場とは限らないんです。
Chapter 8 将来展望とクロージング
この市場は今後どうなっていくんでしょうか?
成長ドライバーとしては、東南アジアや中東での新興市場の成長、Age of Empires MobileのようなIPタイアップ、広告マネタイゼーションの多様化があります。
Age of Empires Mobileは確かに話題になりましたね。リリース時に57カ国でiOS無料1位を取ったとか。
一方でリスクもあります。トップ2タイトルへの市場集中、獲得コストの上昇傾向、そして類似タイトルの飽和によるジャンル疲れ。中国の規制リスクもありますね。
勝者総取りの傾向が強まっているんですね。
さて、今日のまとめです。モバイル4Xストラテジーは、ダウンロード4パーセントで収益21パーセントという超高効率ジャンル。ただし、参入障壁は極めて高い。
Last WarやWhiteout Survivalが数千億円規模の収益を上げている一方で、インディーには別の道がある、ということですね。
市場の構造を理解した上で、自分に適した戦場を選ぶ。これがゲーム開発者にとって最も重要な視点だと思います。
今日は4Xストラテジー市場について、とても勉強になりました。リスナーの皆さん、感想があればぜひ教えてくださいね。
それでは、また次回のエピソードでお会いしましょう。さようなら。
さようなら!