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Episode 71

リテンション指標の完全ガイド:ジャンル別・地域別ベンチマークでユーザー維持率を最大化

12分 8チャプター 日本語
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スクリプト

Chapter 1

オープニング

タカシ

皆さんこんにちは、ゲーム開発者のためのビジネスポッドキャストへようこそ。今日は、ゲーム開発者なら絶対に知っておくべきリテンション指標について、ジャンル別・地域別のベンチマークを徹底解説します。

ミカ

タカシさん、こんにちは。リテンションって、ユーザーがゲームを続けてプレイしてくれる率のことですよね?なんとなく大事なのはわかるんですけど、具体的にどれくらいが「良い」数字なんですか?

タカシ

実は、ここが今日のポイントなんですが、リテンションの「良い」数字って、ジャンルや地域によって全然違うんです。平均を知らないと、自分のゲームが成功しているのかどうかもわからない。

ミカ

なるほど、業界のベンチマークを知ることが大切なんですね。

タカシ

しかも、驚くべきことに、リテンションを5%改善するだけで、利益が25%から95%も増加するというデータがあるんです。だから今日の内容は、本当に収益に直結する話なんですよ。

Chapter 2

D1・D7・D30の意味と目標値

タカシ

まず基本から説明しましょう。リテンションは通常、D1、D7、D30という指標で測定されます。

ミカ

D1、D7、D30って何ですか?

タカシ

DはDayの略で、D1は初日の翌日にまだプレイしてくれているユーザーの割合、D7は1週間後、D30は1ヶ月後ですね。インストールした人のうち、何%が戻ってきてくれるかを測っています。

ミカ

へえ、それぞれどれくらいが目標になるんですか?

タカシ

業界で「良い」とされる基準は、D1が45%以上、D7が20%以上、D30が10%以上です。これはトップ25%の水準ですね。

ミカ

え、D1でも45%が目標なんですか?半分以上が翌日には戻ってこないってことですよね。

タカシ

そうなんです。しかも2025年のデータによると、モバイルゲーム全体の平均D1は26%から27%程度、D7はなんと3%から4%しかない。75%のプロジェクトがD28で3%未満なんです。

ミカ

D7で4%以下...それって、100人がインストールしても1週間後には4人しか残っていないってことですか?

タカシ

その通りです。だからこそ、リテンション改善は非常に大きなインパクトを持つんですね。

Chapter 3

ジャンル別リテンションの真実

タカシ

ここが面白いんですが、ジャンルによってリテンションの数字が大きく異なります。AppsFlyerの調査データを見てみましょう。

ミカ

ジャンルによってそんなに違うんですか?

タカシ

D30のリテンションで見ると、最も高いのはTabletopとPuzzleで、約5%以上。一方、Hypercasualは1.4%程度と低いんです。同じモバイルゲームでも4倍近い差があります。

ミカ

4倍も違うんですか!でも、ハイパーカジュアルってたくさんの人に遊ばれてますよね?

タカシ

いい質問ですね。ハイパーカジュアルはD1やD7は高いんです。D7で12%もある。でも、D30で急落する。これはコンテンツ消費型の特性で、広告収益モデルなら短期でも収益化できます。

ミカ

なるほど、ビジネスモデルによって目指すべきリテンションも違うんですね。

タカシ

その通りです。RPGやCasinoは安定型で、D7からD30への減少率が緩やか。深いエンゲージメントがある。一方、Actionは全期間で相対的に低く、競争が激しい市場なんです。

ミカ

じゃあ、低リソースでAction系に参入するのは厳しいってことですか?

タカシ

データはそう示唆していますね。もし長期運営を目指すなら、PuzzleやTabletopの方がリテンション確保がしやすい。ビジネス戦略とジャンル選択を整合させることが重要です。

Chapter 4

地域別リテンションの特徴

タカシ

次に、地域別の違いを見てみましょう。意外なことに、地域によってもリテンションは大きく異なります。

ミカ

地域によっても違うんですか?どこが一番高いんですか?

タカシ

驚くべきことに、D28のリテンションが最も高いのは中東なんです。1.49%という数字は低く見えますが、相対的にはトップ。北米は全期間で最も高いリテンション率を記録しています。

ミカ

日本はどうなんですか?

タカシ

日本は面白いんですよ。D1が23%、D7が9%、D30が3%。特にD7の9%は、グローバル平均の3から4%の2倍以上なんです。

ミカ

D7が2倍以上ってすごいですね!なんでそんなに高いんですか?

タカシ

日本のユーザーは品質に対する期待が高く、気に入ったゲームには継続的にコミットする傾向があります。ただし、D30ではグローバル平均並みに落ち着くので、中期エンゲージメント施策が特に重要ですね。

ミカ

新興市場はどうですか?アフリカや東南アジアとか。

タカシ

新興市場は全体的にリテンションが低い傾向にあります。ただし、市場規模が大きいので、ボリューム戦略、つまり多くのユーザーを獲得して低リテンションをカバーする戦略が有効です。

Chapter 5

iOS vs Android:プラットフォームの差

タカシ

プラットフォーム別の差も見てみましょう。実は、iOSとAndroidでリテンションに大きな差があるんです。

ミカ

えっ、OSによっても違うんですか?

タカシ

iOSのD1リテンションは35.7%で、Androidは27.5%。iOSはAndroidの1.3倍高いんです。D30になるとさらに差が開いて、iOSが5%に対してAndroidは2.6%。約1.9倍の差になります。

ミカ

D30で1.9倍...かなり大きな差ですね。なんでこんなに違うんですか?

タカシ

いくつかの要因が考えられます。iOSユーザーは平均課金額が高く、ゲームへのコミットメントも高い傾向がある。また、iOS端末の均一性がゲーム体験の安定性に寄与している可能性もあります。

ミカ

じゃあ、リソースが限られている場合はiOS優先がいいんですか?

タカシ

データはそう示唆しています。まずiOSで検証して、最適化してからAndroidに展開するという段階的アプローチは合理的ですね。ただし、新興市場を狙うならAndroid優先も選択肢です。

Chapter 6

PC市場の特殊性

ミカ

モバイルの話が中心でしたけど、PC市場はどうなんですか?

タカシ

PC市場は全く異なる競争環境があります。Steam Replay 2025のデータによると、2025年の新作へのプレイ時間は全体のたった14%しかないんです。

ミカ

14%だけ?じゃあ残りの86%は何に使われているんですか?

タカシ

44%が1年から7年前のゲーム、40%がなんと8年以上前のゲームなんです。つまり、新作は過去の名作と直接競争しているわけです。

ミカ

8年以上前のゲームに40%...新作開発者にとっては厳しい環境ですね。

タカシ

さらに、ユーザーあたりのプレイゲーム数の中央値はたった4本。少数のゲームに集中してプレイする傾向があるんです。

ミカ

PC市場で成功するにはどうすればいいんですか?

タカシ

ローンチウィンドウの最大化と初週の離脱防止が鍵です。明確な差別化、独自のゲームプレイ、そしてコアループの完成度を重視することが重要ですね。

Chapter 7

リテンション改善の投資対効果

タカシ

最後に、リテンション改善の投資対効果についてお話ししましょう。これは本当に重要なデータです。

ミカ

冒頭でも少し触れてましたよね。具体的にどれくらいの効果があるんですか?

タカシ

リテンションを5%向上させると、利益が25%から95%増加するというデータがあります。また、3年目のリピート顧客は新規顧客より67%多く支出するという調査結果もあるんです。

ミカ

67%も多く支出...長く遊んでくれるユーザーは本当に価値が高いんですね。

タカシ

具体的な施策としては、オンボーディング改善でD1を10%から20%向上、プッシュ通知最適化でD7を5%から15%向上、リエンゲージメントキャンペーンで離脱ユーザーの10%から20%を復帰させることが期待できます。

ミカ

どこから手をつければいいか、明確になりますね。

タカシ

D1が低いならオンボーディング、D7が低いならプッシュ通知、D30が低いならライブオペレーション。自分のゲームのボトルネックを特定して、そこに投資することが重要です。

Chapter 8

クロージング

タカシ

さて、今日のポイントをまとめましょう。リテンションのベンチマークは、ジャンル、地域、プラットフォームによって大きく異なります。

ミカ

PuzzleやTabletopは長期リテンションに優れていて、iOSはAndroidより1.3倍から1.9倍高いリテンションということでしたね。

タカシ

その通りです。そして日本市場はD7リテンションがグローバル平均の2倍以上という強みがある。この特性を活かした中期エンゲージメント施策が効果的です。

ミカ

PC市場は新作が過去タイトルと競争するという厳しい環境でしたね。

タカシ

はい。最後に覚えておいてほしいのは、リテンション5%改善で利益25%から95%増という数字です。リテンション改善は、新規ユーザー獲得よりもROIが高いことが多いんですよ。

ミカ

自分のゲームのリテンションを測定して、業界ベンチマークと比較してみることから始められそうですね。

タカシ

ぜひやってみてください。データに基づいた意思決定が、ゲーム開発の成功への近道です。皆さんの参考になれば幸いです。

ミカ

今日はリテンション指標について、とても勉強になりました。リスナーの皆さん、自分のゲームのリテンション、どれくらいでしたか?ぜひ感想を教えてくださいね。

タカシ

それでは、また次回のエピソードでお会いしましょう。さようなら。

ミカ

さようなら!