スクリプト
Chapter 1 オープニング
皆さんこんにちは、ゲーム業界の最新動向をお届けするポッドキャストへようこそ。今日は、大手ゲーム会社がインディーゲームにどう関わっているか、その最新事情をお話しします。
タカシさん、こんにちは。大手がインディーに関わるって、EA Originalsとかそういうやつですか?なんか聞いたことはあるんですけど。
そうですね。2024年から2025年にかけて、実は大きな転換期を迎えているんです。一方では撤退や縮小、他方では継続投資と、各社の戦略がはっきり分かれてきています。
へえ、撤退する会社もあるんですか?それは意外ですね。
Chapter 2 ID@Xbox:Xboxのインディー支援
まず、最も成功しているプログラムの一つ、MicrosoftのID@Xboxから見ていきましょう。これ、実はすごい数字なんです。
ID@Xboxって何ですか?インディーゲームを出せるプログラムみたいなやつですか?
その通りです。2013年から始まったプログラムで、2024年だけで1000本以上のゲームがリリースされています。そして驚くべきことに、累計で50億ドル以上のロイヤリティを開発者に支払っているんです。
50億ドル!日本円で7000億円以上ですよね。それはすごい金額ですね。
2024年1月にはPalworldが大ヒットして、Xbox史上最大のプレイ時間を記録しました。1000万人以上がプレイしたんです。BalatroPhasmophobiaも人気でしたね。
パルワールドってID@Xboxだったんですか。あれ、本当にどこでも話題になってましたよね。
現在、100カ国以上で3500本以上のゲームが開発中だそうです。プラットフォームホルダーとして、インディー支援に最も積極的なのはMicrosoftかもしれません。
Chapter 3 EA Originals:収益100%還元から方針転換へ
次に、EA Originalsについてお話ししましょう。ここが面白いんですが、2016年の設立当初は「リクープ後の収益100%を開発者に還元する」という破格の条件だったんです。
えっ、100%開発者に?EAは何で儲けるんですか?
当時のEAの幹部は「開発者がイノベーションを続けられるように、利益は全て開発者に戻したい」と言っていました。IP、つまり知的財産も開発者が保持できる条件でした。
それは太っ腹ですね。でも今は変わっちゃったんですか?
現在は「案件ごとに交渉」に変わったようです。ただ、IPは引き続き開発者が保持できます。そして、代表作の「It Takes Two」は2700万本以上売れて、ゲームオブザイヤーも受賞しています。
2700万本!インディーゲームでそんなに売れるんですね。
2025年3月にはHazelightの新作「Split Fiction」が発売されて、2ヶ月で400万本を突破しました。EA Originalsは「ニッチから大胆で野心的なタイトルへ」と方針を転換しているようです。
Chapter 4 Private Division:大手撤退の衝撃
さて、ここからは少し暗い話になります。Take-TwoのPrivate Divisionというレーベル、聞いたことありますか?
Take-Twoって、GTAとかを作ってるところですよね。そこにインディー向けのレーベルがあったんですか?
2017年に設立されて、Kerbal Space Programなどを手がけていました。「Triple-I」、つまりAAAとインディーの中間を狙うというコンセプトでした。
Triple-Iって面白いコンセプトですね。でも、うまくいかなかったんですか?
2024年は激動の年でした。2月にレイオフ通知、4月に大幅縮小、5月にスタッフ大多数解雇。そして6月には、Kerbal Space Program 2の開発スタジオが閉鎖されました。
それは...かなり厳しい展開ですね。結局どうなったんですか?
2024年11月にHaveli Investmentsという会社に売却されました。2025年には「Fictions」という新しい名前でリブランドしています。大手パブリッシャーのコスト管理と市場環境の変化で、Triple-Iモデルは持続困難だったようです。
Chapter 5 Annapurna Interactive:スタッフ全員辞任の衝撃
もう一つ、業界を震撼させた出来事があります。Annapurna Interactive、StrayやOuter Wildsを手がけた人気レーベルですが。
あ、Stray知ってます!猫のゲームですよね。すごく評判良かった記憶があります。
2024年8月末に、驚くべきことに25人のスタッフ全員が連名で辞任したんです。会社がスピンオフする交渉が決裂したことが原因と報じられています。
全員辞任?それって会社として成り立たなくなるんじゃないですか?
実は、Annapurna自体は運営を継続しているんです。2025年2月にはShowcaseも開催して、WanderstopやLEGO Voyagersなど新作も発表しています。
へえ、新しいスタッフを雇ったんですかね。でも、ノウハウとか関係性とか、大丈夫なんでしょうか。
そこは注目ポイントですね。ちなみに辞任したスタッフは、別の会社のパブリッシング事業に参加したという報道もあります。人材の流動性が高い業界ですね。
Chapter 6 Devolver Digital:独立系の雄
大手の話が続きましたが、独立系パブリッシャーで最も成功しているDevolver Digitalについても触れておきましょう。
Devolverって、E3のプレゼンがめちゃくちゃ面白いところですよね。Hotline MiamiとかCult of the Lambとか。
2024年の収益は1億500万ドル、前年比13%増でした。粗利益も22%以上伸びて、EBITDAも黒字化しています。ポートフォリオは130本以上、従業員は276人です。
独立系でそれだけの規模になっているんですね。何か秘訣があるんでしょうか?
強いブランド力と、独自のコミュニティとの関係構築でしょうね。2024年10月には「Big Fan Games」という新しいパブリッシングブランドも立ち上げています。
どんどん拡大しているんですね。Cult of the Lambはどれくらい売れたんですか?
累計収益で9000万ドル以上と言われています。Astroneerも8000万ドル以上。大手レーベルに頼らなくても、独立系でここまで成功できる時代なんですね。
Chapter 7 Game Passの影響:諸刃の剣
さて、インディー市場に大きな影響を与えているのが、Xbox Game PassやPS Plusといったサブスクリプションサービスです。
Game Passって、月額払えばゲームが遊び放題のやつですよね。インディーゲームもたくさん入ってますよね。
そうです。年間約50億ドルの収益があると言われています。インディーゲームのプレイ時間は2024年に74%も増加しました。でも、ここが難しいところなんです。
難しいって、どういうことですか?たくさん遊んでもらえるなら良いことじゃないですか?
Game Passに入ると、通常販売の売上が最大80%減少すると言われています。つまり、Game Passの一括ライセンス料は得られますが、単品購入してくれる人が激減するんです。
80%減!それは痛いですね。じゃあ、Game Passに入らない方がいいんですか?
一概には言えません。例えば2025年の「Clair Obscur: Expedition 33」は、Day 1でGame Passに入って、1ヶ月で330万本売れました。マルチプラットフォームなら、他機種での売上が伸びることもあります。
なるほど、宣伝効果もあるということですね。
ある開発者は「Game PassはXboxプレイヤーにゲームを買わないことを教えてしまった」と批判していますが、一方で「Call of Dutyしかやらない層が他のジャンルに触れる機会を提供している」という見方もあります。
Chapter 8 インディー市場の未来
最後に、インディー市場全体の見通しをお話ししましょう。2025年の市場規模は48.5億ドル、2030年には95.5億ドルに成長すると予測されています。
ほぼ倍になるんですね。まだまだ成長市場なんだ。
興味深いのは、インディーのPC収益成長率が年22%なのに対し、AAAは8%なんです。2024年のMetacriticトップ20のうち、なんと75%がインディーゲームでした。
75%!品質面でもインディーが評価されているんですね。
価格戦略も変化しています。7.99ドル、日本円で1200円程度が「スイートスポット」と言われています。5ドルに近い感覚で買えるけど、10ドルに近い収益が得られる絶妙な価格帯なんです。
衝動買いしやすい価格帯ってことですね。確かに、1000円ちょっとなら気軽に買えますよね。
Chapter 9 クロージング
今日のポイントをまとめると、大手のインディーレーベルは二極化が進んでいます。ID@XboxやEA Originalsは継続投資、Private Divisionは撤退という明暗が分かれました。
サブスクの影響も大きいんですね。機会でもあり、リスクでもあると。
そうですね。小規模スタジオにとっては、Devolverのような独立系パブリッシャーを活用するか、自己パブリッシュで7.99ドル帯を狙うか、戦略の選択が重要になります。
インディーゲーム市場は厳しい面もあるけど、チャンスもたくさんあるってことですね。
その通りです。市場規模は拡大し続けていますし、Metacriticの評価でもインディーが上位を占めています。良いゲームを作れば、道は開けるという時代でもあります。
今日は大手のインディー戦略について、とても勉強になりました。リスナーの皆さんはどう思いましたか?
それでは、また次回のエピソードでお会いしましょう。さようなら。
さようなら!