スクリプト
Chapter 1 オープニング
皆さんこんにちは、ゲーム開発者のためのポッドキャストへようこそ。今日は非常に重要なテーマ、AI生成コンテンツの著作権問題についてお話しします。
タカシさん、こんにちは。最近AIでイラストを生成したり、音楽を作ったりするツールが増えてますよね。でも、著作権的に大丈夫なのか、正直よくわからないんです。
それが今日のポイントです。実は2025年から2026年にかけて、AI著作権をめぐる重要な訴訟や判決が相次いでいるんです。インディー開発者として、この状況を理解しておくことは必須です。
訴訟が起きてるんですか?それは怖いですね。
はい。Getty Images、ディズニー、ユニバーサルといった大手企業がAI企業を訴えています。さらに声優組合のSAG-AFTRAとも大きな動きがありました。順番に見ていきましょう。
Chapter 2 主要訴訟:Getty Images vs Stability AI
まず、最も注目されている訴訟の一つ、Getty Images対Stability AIについてお話しします。
Getty Imagesって、写真素材サイトですよね?Stability AIはStable Diffusionを作ってる会社でしたっけ?
その通りです。実は2025年11月に英国で重要な判決が出ました。ここが面白いんですが、著作権侵害の主張は棄却されたんです。
えっ、棄却?Getty Imagesが負けたんですか?
ただし、商標侵害は認定されました。AIの出力にGettyの透かしが含まれていたケースがあったんですね。責任はAIモデル提供者、つまりStability AI側にあるとされました。
透かしが出力に出ちゃったってことですか。それは確かに問題ですね。
米国では別途訴訟が進行中で、2028年1月に陪審裁判が予定されています。この判決がどうなるかで、AI業界全体の方向性が変わる可能性があります。
Chapter 3 ディズニー・ユニバーサル vs Midjourney
さらに衝撃的なのは、ディズニーとユニバーサルがMidjourneyを訴えたケースです。
ディズニー!それは大きな話ですね。何を訴えてるんですか?
Midjourneyがヨーダ、バート・シンプソン、アイアンマン、シュレックといった有名キャラクターを無断で学習データに使用したと主張しています。
えーと、確かにMidjourneyって特定のキャラクター風の画像が生成できますよね。あれがダメだということですか?
そうですね。興味深いのはMidjourney側の反論です。フェアユースの範囲内だと主張し、さらに「原告企業自身もMidjourneyを含む生成AIを使用している」と指摘しています。
それは...なんというか、皮肉な話ですね。
2026年12月に重要な申立期限があるので、この裁判の行方は要注目です。インディー開発者としても、既存キャラクター風のAI画像生成は避けた方が賢明でしょう。
Chapter 4 音声AI:SAG-AFTRAの勝利
次に、ゲーム開発者にとって特に重要な話、AI音声と声優の問題です。
AI音声ですか。最近のAI音声ってすごくリアルになってますよね。
2025年7月に、SAG-AFTRA、つまりアメリカの俳優・声優組合がビデオゲーム会社とストライキの和解を達成しました。なんと承認率95パーセントという圧倒的支持でした。
ストライキしてたんですか。何が争点だったんでしょう?
最大の争点はAI保護条項でした。新協定では、デジタルレプリカ、つまり声優の声を模倣したAI音声の使用には、書面による明確な同意が必要になりました。
つまり、勝手に誰かの声をAIでコピーしてゲームに使うのはダメってことですね。
その通りです。しかも、同意は「合理的に具体的」でなければならず、曖昧な包括同意は無効になります。報酬も即時15パーセント以上の賃上げが決まりました。
インディー開発者がAI音声を使う場合、何に気をつければいいんでしょう?
実在の人物の声をクローンする場合は、必ず書面で明確な同意を取得してください。テネシー州のELVIS法など、州法でもAI音声クローンへの規制が進んでいます。
Chapter 5 Steamの新AI開示ルール
さて、プラットフォーム側の対応も見ていきましょう。Steamが2026年1月にAI開示ルールを更新しました。
Steamで何か開示しないといけないんですか?
はい。AI生成アート、AI音声、AIローカライゼーション、AIナラティブ、マーケティング素材でのAI使用、すべて開示が必要です。
結構多いですね。開発ツールとしてAIを使った場合も開示が必要なんですか?
ここが重要なポイントです。AIコード支援ツールや、開発中のみ使用して最終アウトプットに含まれないAIは開示不要です。Valveの方針は、プレイヤーが実際に見たり聞いたりするコンテンツに焦点を当てています。
なるほど、最終的にプレイヤーに届くものだけが対象なんですね。
驚くべきことに、2025年にはSteam上のAI開示ゲームが約8000タイトルになりました。2024年は約1000タイトルだったので、8倍です。新作の約22パーセントがAI使用を開示しています。
22パーセントって、5本に1本以上ですね。それだけ普及してるんだ。
Chapter 6 リスクレベル別AI利用ガイド
ここからは実践的な話です。AI利用のリスクレベル別ガイドをお伝えします。
待ってました。どのツールが安全で、どれが危険なのか知りたいです。
まず低リスク、つまり安全な利用方法から。自社データでの学習、ライセンス済みデータセット、パブリックドメイン素材は問題ありません。Adobe Fireflyもライセンス済みコンテンツのみで学習しているので安全です。
Adobe Fireflyは安全なんですね。でも他の画像生成AIはどうなんでしょう?
ここが高リスクになります。MidjourneyやStable Diffusionの出力を最終アセットとして使うのは避けた方がいいでしょう。進行中の訴訟があり、補償もありません。
補償って何ですか?
もし著作権侵害で訴えられた場合に、AIベンダーがあなたを守ってくれるかどうかです。Adobe Fireflyは最大1万ドルまで補償してくれますが、Midjourneyは全リスクをユーザーに移転しています。
えっ、Midjourneyは何も守ってくれないんですか。それは怖いですね。
そうなんです。中リスクとしては、AI生成を人間が大幅修正する場合があります。十分な人間の創造的入力があれば著作権保護を得られる可能性がありますが、文書化が重要です。
Chapter 7 保険とE&O
保険の話も聞きたいです。万が一訴えられた場合、保険でカバーされるんですか?
ここが最近大きく変わっています。実は多くの保険会社がAI除外条項を追加し始めているんです。
除外条項ですか。つまり、AI関連は保険が効かないってことですか?
従来のE&O保険、つまり専門職業責任保険では、AI関連の請求がカバーされない可能性があります。2026年1月から新しいAI除外フォームが保険会社に提供され始めています。
じゃあ、どうすればいいんでしょう?
良いニュースもあります。2025年後半から専門AI保険が登場しています。TestudoやArmilla Insurance Servicesといった会社が、AI特有のリスクをカバーする保険を提供し始めました。
専門のAI保険があるんですね。それは安心できそう。
推奨としては、現行のE&Oポリシーを確認してAI除外条項がないか確認すること。そして必要に応じて専門AIエンドースメントや補足保険を検討してください。
Chapter 8 実践ガイドとチェックリスト
最後に、インディー開発者向けの実践ガイドをまとめましょう。
はい、具体的に何をすればいいか教えてください。
まず階層化IP戦略という考え方があります。コアキャラクターやメインアートは人間主導で制作し、UI・背景などの周辺アセットでAIアシストを検討する、という使い分けです。
重要なものは人間が作って、補助的な部分にAIを使うってことですね。
その通りです。ワークフローとしては、アイデア出しや参考用にはAIを自由に使い、最終アセット制作は人間主導、そして必ず品質管理と法務レビューを入れる、という流れがおすすめです。
法務レビューって、個人開発者でもできるんですか?
最低限、使用したAIツール、入力プロンプト、修正履歴を文書化しておくことをお勧めします。万が一問題が起きた時の証拠になります。
Chapter 9 クロージング
さて、今日のポイントをまとめましょう。AI著作権問題は現在進行形で、2026年に重要な判決がいくつも予定されています。
MidjourneyやStable Diffusionは高リスク、Adobe Fireflyは比較的安全、ということでしたね。
その通りです。AI音声については同意なき使用は絶対に避けること。Steamでの開示も忘れずに。そして保険のAI除外条項を確認してください。
AIは便利だけど、法的リスクもしっかり理解して使わないといけないですね。
まさにその通りです。2026年9月にはAndersen対Stability AIの裁判も予定されています。この判決でフェアユースの範囲が明確になる可能性があります。
今日は本当に勉強になりました。リスナーの皆さんも、AI利用ポリシーを作ってみてはいかがでしょうか?
そうですね。不安な方は、まずは承認済みツールリストを作るところから始めてみてください。それでは、また次回のエピソードでお会いしましょう。さようなら。
さようなら!