スクリプト
Chapter 1 オープニング
皆さんこんにちは、ゲーム開発者のためのポッドキャストへようこそ。今日は非常に重要なテーマ、インディースタジオがGaaS、つまりライブサービス型ゲームを運営する際の失敗事例を深掘りします。
タカシさん、こんにちは。GaaSって最近よく聞きますよね。Fortniteとか、原神とか。インディーでもやってみたいっていう開発者さん多そうです。
実は、ここが今日のポイントなんですが、インディースタジオがGaaSモデルを採用した場合、なんと70パーセント以上が商業的失敗に終わるんです。
70パーセント!ほとんど失敗してるじゃないですか。それって普通のインディーゲームより厳しいんですか?
さらに厳しいのが、成功するインディーGaaSは全体の1パーセント未満だということです。しかも平均サービス期間は6ヶ月から2年未満。つまり、ほとんどのゲームが長く続けられないんです。
Chapter 2 具体的な失敗事例
では、具体的な失敗事例を見ていきましょう。まず、Spellbreakというゲームをご存知ですか?魔法で戦うバトルロワイヤルです。
なんとなく聞いたことあります。確かサービス終了したんですよね?
驚くべきことに、このゲームは2000万ドル、日本円で約30億円もの資金調達を受けていたんです。ローンチ3週間で500万人がプレイしました。
30億円!500万人!それだけあって失敗したんですか?信じられない。
開発者自身が「世界最大のゲームと競争する道を選んでしまった」と認めています。FortniteやApex Legendsと同じバトロワ市場に参入したんですね。
なるほど。じゃあ、お金があっても飽和した市場では勝てないってことですね。
もっと短命だった例もあります。Disintegrationというゲームは、Haloの共同クリエイターが作ったにもかかわらず、マルチプレイヤーはたった5ヶ月で終了しました。
5ヶ月!Haloの人が作っても?何がダメだったんですか?
50ドルという価格設定が問題でした。無料で遊べる競合ゲームと比較されて不利になった。しかもローンチ日がThe Last of Us 2の3日前という最悪のタイミングでした。
Chapter 3 失敗パターンの類型化
色々な失敗事例がありますけど、共通点みたいなものはあるんですか?
実は、失敗パターンは大きく4つに分類できます。まず第一が「市場飽和・競合敗北型」。バトロワやFPSなど、すでに大手が支配している市場に参入するパターンです。
FortniteやApexがいるところに突っ込んでいくってことですね。それは確かに厳しそう。
第二が「リソース枯渇型」。ライブサービスを維持するには継続的な投資が必要なんですが、資金が尽きてしまうパターンです。Giganticというゲームは開発中に「資金が尽きた」と75人の従業員に通告されました。
それは辛いですね。従業員の方々も大変だったでしょう。
第三が「プレイヤーリテンション失敗型」。Knockout Cityというゲームは累計1200万人がプレイしたんですが、継続率が低くて終了しました。
1200万人いても失敗するんですか?人数だけじゃダメなんですね。
開発者は「小規模インディーとして、ライブサービスを継続しながら大規模な変更を行う帯域幅がない」と語っています。成功すればするほど運営負担が増える矛盾があるんです。
Chapter 4 インディーがGaaSで不利な理由
そもそも、なぜインディースタジオはGaaSで不利なんですか?具体的に教えてください。
数字で見ると明確です。大手はアップデートを週1回以上出せますが、インディーは月1回程度が限界。マーケティング予算も大手の1000分の1程度しかありません。
1000分の1!それは競争にならないですね。サーバー代とかもかかりますよね?
サーバーコストは規模によって変わります。同時接続5000人以上で月に15万円から50万円以上。DDoS対策も入れると更に5万から20万円かかります。
毎月それだけかかるのは大変ですね。人件費も別にかかるわけですし。
そうなんです。10人から50人規模のスタジオがLiveOpsを維持するには、最低3人から5人をポストローンチ専任にする必要があります。チームの3分の1近くですよ。
それって新しいゲーム作る余裕がなくなりそうですね。
まさにその通りです。「ゲームが成功すればするほど、より多くのLiveOpsが必要になり、小規模スタジオは急速に圧倒される」という悪循環に陥るんです。
Chapter 5 成功した例外事例
じゃあ、インディーでGaaS的なことに成功した例ってあるんですか?
面白いことに、成功例はあるんですが、純粋なGaaSモデルではないんです。代表例がAmong Us。チームはたった3人でした。
Among Us!あれすごく流行りましたよね。でも3人で作ってたんですか?
2018年にローンチして、2020年のコロナ期間中に爆発的に流行りました。最大月間アクティブユーザーがなんと5億人。累計収益は1億500万ドル以上です。
5億人って日本の人口の4倍じゃないですか!なぜそこまで成功したんですか?
成功の鍵は「極めて低い運営コスト」です。シンプルなゲーム設計で軽量サーバー。マーケティング費用はほぼゼロで、配信者の口コミだけで広がりました。
なるほど。配信映えするゲームだったから、勝手に広まったんですね。
Deep Rock GalacticやValheimも同様です。共通点は、純粋なGaaSではなく買い切りか低課金設計で、運営コストを最小化している点です。
Chapter 6 GaaSを検討すべき条件
じゃあ、インディーはGaaSをやらない方がいいってことですか?
必ずしもそうではありません。ただし、条件があります。まず、チーム規模が30人未満なら避けた方がいい。週次アップデートを維持できるリソースも必要です。
30人って結構大きいチームですよね。他に条件はありますか?
サーバーコストを12ヶ月以上賄える資金があること。そして何より、ジャンル創出レベルの明確な差別化が必要です。既存ゲームの改善版では戦えません。
GaaSじゃない代わりの戦略ってあるんですか?
いい質問ですね。おすすめは「買い切り + 定期DLC」モデル。ValheimやHadesがこれで成功しています。GaaSのコンテンツ更新モデルを買い切りで実現するんです。
継続収入を狙いつつ、運営の負担は軽くするってことですね。
その通りです。もう一つは、常時運営ではなくシーズン限定やイベント的な運営。Among Usがまさにこれです。必要な時だけアップデートする形ですね。
Chapter 7 クロージング
さて、今日のポイントをまとめましょう。インディーGaaSの成功率は1パーセント未満で、70パーセント以上が商業的失敗に終わります。
失敗パターンは市場飽和、リソース枯渇、リテンション失敗、設計変更の4つでしたね。
そうです。ただし、Among UsやValheimのように「純粋なGaaSではない」形で成功する道はあります。低運営コスト設計、ストリーミング適性、独自のニッチ確立がキーです。
GaaSに夢を見る前に、まず自分たちのリソースと市場を冷静に分析することが大事ですね。
まさにその通りです。潤沢な資金があっても失敗するケースがあることを忘れないでください。戦略が間違っていれば、お金では解決できないんです。
今日はインディーGaaSの厳しい現実と、それでも成功するための条件について学びました。リスナーの皆さんも参考にしてくださいね。
それでは、また次回のエピソードでお会いしましょう。さようなら。
さようなら!