スクリプト
Chapter 1 オープニング
皆さんこんにちは、インディーゲーム開発者のためのポッドキャストへようこそ。今日は、多くの開発者が気になるローカライズのコストについて、徹底的に解説していきます。
タカシさん、こんにちは。ローカライズって、翻訳すればいいってだけじゃなくて、結構お金がかかるイメージがあるんですけど、実際どうなんですか?
いい質問ですね。実は、よく言われる「複数言語込みで2万8000ドルから3万ドル」という数字があるんですが、これの内訳って意外と知られていないんです。
えっ、そんなにかかるんですか?日本円だと400万円以上ですよね。小規模なスタジオだと厳しそう。
そうなんです。でも実は、賢く予算を組めばもっと少ない金額で始められます。今日はその具体的な方法をお話ししていきますね。
Chapter 2 ゲーム規模別のコスト目安
まず、ゲームの規模によってローカライズコストは大きく変わります。最も影響するのは、ゲーム内のテキスト量、つまりワード数なんです。
ワード数ですか。具体的にはどれくらいの差があるんでしょう?
例えば、小規模なインディーゲームで1万ワード以下なら、1言語あたり1000ドルから1800ドル程度で済みます。UIが中心で短いストーリーのゲームですね。
1言語で1000ドルなら、日本円で15万円くらいですね。それなら手が届きそう。
ただし、中規模ゲームで1万から5万ワードになると、1500ドルから7500ドル。大規模なRPGやビジュアルノベルで5万ワード以上だと、7500ドルから4万5000ドル以上にもなります。
4万5000ドルって、700万円近いですよね。ビジュアルノベルってテキスト量が膨大だから、そうなるんですね。
実際の事例をお話しすると、あるタクティカルFPSゲームは1万ワードを8言語にローカライズして、約9400ユーロ、日本円で150万円程度でした。
8言語で150万円。1言語あたり20万円弱ってことですね。意外とリーズナブルかも。
Chapter 3 言語別の翻訳単価
ここが面白いんですが、言語によって翻訳単価が全然違うんです。最も高いのは、実は日本語なんですよ。
えっ、日本語が一番高いんですか?なぜでしょう?
日本語はワードあたり0.20ドルから0.25ドルで、品質への要求が非常に高いからなんです。ゲーマーが翻訳の細かいニュアンスにも敏感なんですね。
確かに、日本のゲーマーって翻訳の違和感にすごく敏感ですよね。レビューでも「翻訳がイマイチ」って書かれることありますし。
一方で、最も安いのはロシア語で、ワードあたり0.06ドルから0.09ドル。日本語の4分の1程度です。ただし、地政学的なリスクがあるのは注意点ですね。
言語によってそんなに差があるんですね。他の言語はどうですか?
FIGS、つまりフランス語、イタリア語、ドイツ語、スペイン語は、だいたいワードあたり0.10ドルから0.15ドルで標準的です。中国語と韓国語は0.12ドルから0.24ドルで中程度ですね。
FIGSって聞いたことあります。欧州向けの標準パックみたいなものですよね。
Chapter 4 機械翻訳の活用とコスト削減
さて、ここからは多くの開発者が気になる、機械翻訳を使ったコスト削減についてお話しします。実は、うまく使えば最大60パーセントもコストを削減できるんです。
60パーセント削減!それはすごいですね。でも、機械翻訳だけだと品質が心配です。
おっしゃる通りで、機械翻訳のみでの公開は絶対に避けるべきです。Hollow Knightの続編、Silksongは中国語翻訳の品質問題で、なんと1万6000件のネガティブレビューを受けました。
1万6000件も!それはダメージが大きすぎますね。じゃあ、どうやって機械翻訳を活用すればいいんですか?
MTPEという方法があります。Machine Translation Post-Editing、つまり機械翻訳したものを人間が編集する方式です。フルMTPEだと人的翻訳の50から65パーセントのコストで済みます。
MTPEですか。具体的にはどんな感じになりますか?
例えば、5万ワードの中規模ゲームを5言語に翻訳する場合、人的翻訳だと5万ドル。フルMTPEなら2万5000ドル、ライトMTPEなら1万7500ドルまで下がります。
半額以下になるんですね。でも、どんなコンテンツでも使えるんですか?
ここが重要なポイントです。UIやチュートリアルなど定型文が多い部分はMTPEに向いています。一方、メインストーリーやジョーク、語呂合わせは人的翻訳が必須です。
なるほど、使い分けが大事なんですね。ハイブリッドで行くのが正解と。
Chapter 5 予算別の言語戦略
では実際に、予算に応じてどの言語を優先すべきか、具体的な戦略をお話ししましょう。
それ、すごく知りたいです。予算が限られてる場合、どこから手をつければいいのか悩みますよね。
まず、5000ドル以下の予算なら、2から3言語をフルMTPEで。英語、簡体字中国語、日本語の組み合わせが推奨です。
中国語と日本語ですか。やっぱりアジア市場が重要なんですね。
そうです。Steamの言語シェアで中国語が33パーセント以上を占めていますからね。1万から2万ドルの予算があれば、5から6言語に拡大して、人的翻訳とMTPEの混合で品質を上げられます。
混合っていうのは、ストーリーは人間、UIはMTPEみたいな感じですか?
まさにその通りです。そして3万ドル以上あれば、10言語以上のフルローカライズが可能になります。この場合は全て人的翻訳で高品質を追求できます。
言語の優先順位ってあるんですか?ROI的に。
ROI順で言うと、1位が簡体字中国語、市場規模が最大でコストは中程度。2位が日本語、ARPUが最高だけど翻訳コストも最高。3位がドイツ語で欧州最大。4位がブラジルポルトガル語、成長市場です。
Chapter 6 追加コストと注意点
翻訳以外にもかかるコストってありますか?
いい質問です。見落としがちなのがLQA、品質保証のコストです。時間あたり40ドルから80ドルかかります。翻訳後にゲーム内でテキストが正しく表示されるか確認する作業ですね。
ボイスオーバーはどうですか?音声付きのゲームだと必要になりますよね。
ボイスオーバーは高額で、完成1時間あたり500ドルから1500ドル、1言語ごとにかかります。スタジオ費用込みの価格です。小規模ゲームなら、ボイスオーバーは後回しにするか、主要言語のみに絞るのが現実的ですね。
エージェンシーを使うとさらに高くなるんですか?
エージェンシー手数料はフリーランス比で20から40パーセント上乗せになります。ただし、プロジェクト管理や品質保証が含まれるので、時間がない開発者にとっては価値があることも多いです。
Chapter 7 クロージング
さて、今日のポイントをまとめましょう。ローカライズコストはワード数と言語で大きく変わり、1言語あたり1500ドルから6000ドルが目安です。
そして、MTPEを使えば最大60パーセント削減できるけど、ストーリー部分は人的翻訳が必須ということですね。
その通りです。機械翻訳のみでの公開は絶対に避けてください。Hollow Knightの1万6000件のネガティブレビューを忘れずに。必ずネイティブチェックを通すことが重要です。
言語の優先順位も参考になりました。中国語、日本語、ドイツ語の順番ですね。
予算に応じて戦略的に言語を選び、コンテンツタイプによってMTPEと人的翻訳を使い分ける。これがインディー開発者にとっての最適解です。
今日はローカライズコストについて、とても具体的な情報をいただきました。リスナーの皆さんの参考になれば嬉しいです。
皆さんのゲームが世界中のプレイヤーに届くことを願っています。それでは、また次回のエピソードでお会いしましょう。さようなら。
さようなら!