スクリプト
Chapter 1 オープニング
皆さんこんにちは、インディーゲーム開発者のためのポッドキャストへようこそ。今日は非常に重要なテーマ、パブリッシャーとの契約条件についてお話しします。
タカシさん、こんにちは。パブリッシャーって、ゲームを売るのを手伝ってくれる会社ですよね?契約って難しそうなイメージがあります。
実は、ここが今日の最大のポイントなんですが、2024年にパブリッシャー業界で衝撃的な出来事が続きました。5社以上のパブリッシャーが閉鎖または再編されたんです。
えっ、5社も?それは大変ですね。開発者の方々は大丈夫だったんですか?
残念ながら、契約先のパブリッシャーが突然閉鎖して、コンソール向けのアップデートができなくなった開発者もいます。ある開発者は「トラウマ的だった」と表現しています。
Chapter 2 レベニューシェアの真実
では、契約の核心部分から見ていきましょう。まず、レベニューシェア、つまり収益の分配率についてです。
レベニューシェアって、売上をどう分けるかってことですよね?だいたい何対何くらいなんですか?
業界の中央値は、回収完了後で開発者50パーセント、パブリッシャー50パーセントです。ただし、これが最低ラインだと思ってください。
回収完了後っていうのは、どういう意味ですか?
パブリッシャーが前払いしたお金を、売上から回収するまでの期間があるんです。回収中は開発者の取り分が20から40パーセントに下がることが多いんですね。
なるほど。じゃあ、前払いを受けると、最初はあまりもらえないってことですか?
その通りです。興味深いデータがあって、前払いなしの契約では開発者の取り分が平均71パーセントなんです。前払い50万ドル超えだと53パーセントに下がります。
71パーセントと53パーセント、結構違いますね。お金に余裕があれば前払いを減らした方がいいってこと?
まさにそこがポイントです。開発資金に余裕があれば、前払いを減らしてシェア率を上げる交渉が有効な戦略になります。
Chapter 3 開発者有利なパブリッシャー
50パーセントが標準ってことですけど、もっと良い条件を出してくれるパブリッシャーもあるんですか?
ありますよ。特に注目したいのがHooded Horseというパブリッシャーです。なんと開発者に65パーセントをフラットで、つまり初日から最終日まで同じ率で分配するんです。
65パーセント!しかもフラットって、回収期間とか関係なく最初からってことですか?
はい。さらにマーケティング予算も10万ドル以上を保証しています。これがHooded Horseモデルと呼ばれ、業界で注目されています。
他にも開発者に有利なパブリッシャーってありますか?
Whitethorn Gamesも注目です。開発者に75から90パーセント、しかも契約は2年更新で、30日前に通知すれば解約できるんです。
30日で解約できるって、すごく柔軟ですね。普通はどれくらいの期間縛られるんですか?
ここが問題なんですが、業界平均の推奨契約期間は6.5年で、なんと38パーセントの契約が永続、つまり終わりがないんです。
永続!それは怖いですね。一度契約したら永遠に続くってことですか?
そうです。だからこそ、2から3年の短期契約を優先すべきです。Whitethorn Gamesのモデルが理想的ですね。
Chapter 4 前払い金の相場
前払い金って、実際どれくらいもらえるものなんですか?
業界の平均は31万8000ドル、中央値で30万ドルです。ただし、前払いがある契約だけで見ると46万ドルから67万5000ドルになります。
30万ドルって、日本円だと4500万円くらいですよね。結構大きな金額ですね。
ただ、気をつけてほしいのは、大手パブリッシャーも投資を縮小しているんです。Devolver Digitalを例に挙げると、2022年には1ゲームあたり約300万ドル投資していたのが、2026年目標では104万ドルまで減っています。
3分の1に減ってるんですか。大型の前払いは期待しにくくなってきてるってことですね。
その通りです。投資ティア別に見ると、100万ドル以上はHooded HorseやRaw Fury、25万ドルから100万ドルはBigmodeやCurve Games、25万ドル未満はWhitethorn Gamesなどが代表的です。
Chapter 5 2024年パブリッシャー閉鎖の教訓
さて、冒頭で触れた2024年のパブリッシャー閉鎖について詳しく見ていきましょう。これは本当に衝撃的な出来事でした。
どんなパブリッシャーが閉鎖したんですか?
まず、Humble Games。2024年7月に全36名が解雇されました。契約していた開発者がコンソール向けのアップデートをできなくなるという深刻な事態が起きました。
Humble Bundleで有名なところですよね?36名全員解雇って衝撃的ですね。
さらに9月にはAnnapurna Interactive。外部監査役に突然監視されることになった全25名のスタッフが抗議の辞職をしました。経営陣との対立が原因でした。
Annapurnaって、すごく評判の良いパブリッシャーだと思ってたんですけど。
その他にも、Riot Forge、Versus Evil、Merge Gamesなど、名前を聞いたことがあるパブリッシャーが次々と閉鎖または再編されました。
開発者としては、契約先を選ぶのが怖くなりますね。どうやってリスクを減らせばいいんでしょう?
最も重要なのは、契約書にパブリッシャー倒産時の権利帰属を明記することです。あと、前払い金の一部を第三者口座に保管するエスクロー条項も有効です。
Chapter 6 要注意の契約条項
契約書で特に気をつけるべき条項って他にもありますか?
はい。特に警戒すべきなのが、優先交渉権、英語でRight of First Refusalと呼ばれるものです。
優先交渉権って何ですか?
次のゲームを出すとき、まずそのパブリッシャーに声をかけなければならないという条項です。程度によって4種類あります。
4種類もあるんですか?
軽い順に、First Look、First Negotiation、First Refusal、Last Matchです。First Refusalは「パブリッシャーが取るか決めてから他社へ」という重い制限で、Last Matchは「他社のオファーに対してマッチング権を持つ」というさらに制限的なものです。
Last Matchって、他の会社と交渉しても意味がなくなりそうですね。
その通りです。他社との関係を悪化させることもあるので、First Refusal以上の条項は削除を交渉すべきです。少なくとも回答期限を設定するようにしましょう。
IP、つまり知的財産権についてはどうですか?
基本原則は「開発者がIPを保持し、パブリッシャーは配信ライセンスのみ取得」です。ただし、初回開発者にはテイクオーバー条項、つまり契約違反時のIP移転条項が含まれることが多いので要注意です。
Chapter 7 パブリッシャーを使う価値
ここまで聞くと、パブリッシャーを使わないで自分で出した方がいいんじゃないかって思っちゃいますけど。
これが面白いデータがあるんです。パブリッシャー付きのゲームは、自己パブリッシュの6倍の売上中央値を記録しています。
6倍ですか!それはすごい差ですね。
具体的な数字で言うと、パブリッシャー付きの収益中央値が約1万6000ドル、自己パブリッシュは約3300ドルです。40パーセントの手数料を引いても、パブリッシャー付きは約9700ドル残ります。
手数料を払っても3倍の収益になるんですね。でも、インディーゲームの85パーセントは自己パブリッシュって聞いたことがあります。
その通りです。パブリッシャーを使っているのは15パーセントだけ。でも、収益の上位10パーセントが全収益の89パーセントを占めている現実を考えると、パブリッシャーの支援は大きな差を生むんです。
Chapter 8 クロージング
さて、今日のポイントをまとめましょう。パブリッシャー契約では、レベニューシェア50パーセント以上、契約期間2から3年を目指しましょう。
Hooded HorseやWhitethorn Gamesのような開発者有利なパブリッシャーも選択肢に入れるべきですね。
その通りです。そして2024年の閉鎖ラッシュを教訓に、契約先の財務健全性を確認し、倒産時の権利帰属を契約書に明記することが重要です。
優先交渉権、特にRight of First Refusalには気をつけないといけないんでしたね。
はい。IPは開発者が保持が原則、優先交渉権は削除を交渉。これを覚えておいてください。パブリッシャー選びは、ゲームの成功を左右する重要な決断です。
今日はパブリッシャー契約について、とても勉強になりました。リスナーの皆さんも、契約前にはしっかり条件を確認してくださいね。
それでは、また次回のエピソードでお会いしましょう。さようなら。
さようなら!