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Episode 50

MENA市場参入の完全ガイド:文化的配慮と規制対応で成功を掴む

12分 7チャプター 日本語
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スクリプト

Chapter 1

オープニング

タカシ

皆さんこんにちは、ゲーム開発者のためのポッドキャストへようこそ。今日は、インディー開発者が見落としがちな巨大市場、MENA(中東・北アフリカ)についてお話しします。

ミカ

タカシさん、こんにちは。MENAって聞いたことはあるんですけど、正直あまりピンと来ていないんですよね。ゲーム市場として重要なんですか?

タカシ

実は、MENA市場は2024年に約21億ドル規模で、2029年には28億ドルに成長すると予測されています。そして、世界で最も文化的配慮が重要な市場でもあるんです。

ミカ

21億ドル!それは大きいですね。でも、文化的配慮って具体的にどういうことですか?

タカシ

ここが今日のポイントなんですが、規制要件を正確に理解しないと、最大100万AED、日本円で約4000万円の罰金を科される可能性があるんです。

Chapter 2

サウジアラビアとUAEの規制

タカシ

では、主要な2カ国の規制から見ていきましょう。まずサウジアラビアです。ここは世界で最も厳格な規制を持つ国の一つです。

ミカ

サウジアラビアって、ゲームに対してそんなに厳しいんですか?

タカシ

驚くべきことに、2025年には21歳以上という新しい年齢レーティングが追加されました。これでGTA Vが7月に解禁されたんです。以前は完全禁止だったんですよ。

ミカ

えっ、GTA Vが禁止されてたんですか!それが解禁されたのはすごい変化ですね。

タカシ

そうなんです。ただし、絶対に禁止されているコンテンツがあります。コーランの引用、預言者の描写、LGBTQ+表現、ギャンブル要素。これらは完全にNGです。

ミカ

ギャンブルって、ガチャみたいなものも含まれるんですか?

タカシ

シャリーア法により、カジノやスロットは完全禁止です。ガチャについては国によって解釈が異なりますが、サウジでは非常に厳しく見られます。

ミカ

UAEはどうなんですか?ドバイとか、観光で人気ですよね。

タカシ

UAEも厳しいですね。2025年の法改正で、宗教や神への不敬には最大100万AED、約4000万円の罰金が明確化されました。16の必須コンテンツ基準があるんです。

Chapter 3

失敗事例から学ぶ

タカシ

ここからは、実際に起きた失敗事例を見ていきましょう。これが本当に教訓になります。

ミカ

有名なゲームでも問題があったんですか?

タカシ

Call of Duty: Vanguardが2021年に大きな問題を起こしました。Zombiesモードでコーランのページが床に散乱して血で汚れた状態で描写されたんです。

ミカ

それは...確かに問題ですね。どうなったんですか?

タカシ

「No Call of Duty」というハッシュタグがアラビア語と英語で拡散され、大規模なボイコット運動に発展しました。Activisionはシーンを削除してアラビア語で謝罪しましたが、批判は続きました。

ミカ

謝罪したのに批判が続いたんですか?

タカシ

謝罪がアラビア語のみだったことが問題視されました。公式のメインアカウント、英語でも謝罪すべきだったんです。事前の文化監修があれば完全に回避できた問題でした。

ミカ

他にも事例はありますか?

タカシ

Spec Ops: The Lineは、ドバイが自然災害で壊滅した状態を描写したため、UAEで完全禁止されました。2022年時点でもまだ購入できません。ヨルダンやレバノンにも影響が波及しました。

ミカ

実在の都市を破壊的に描くのは危険なんですね。

Chapter 4

成功事例:Assassin's Creed Mirage

タカシ

では逆に、大成功した事例を見てみましょう。UbisoftのAssassin's Creed Mirageです。

ミカ

あ、バグダッドが舞台のやつですよね。あれは評判良かったって聞きました。

タカシ

その通りです。シリーズ史上最大規模のアラビア語ローカライズが行われました。しかも、単なる翻訳ではなく、文化コンサルタントを3人も起用したんです。

ミカ

文化コンサルタントって何をするんですか?

タカシ

ナラティブ、アート、ゲームプレイの全チームと協働して、文化的な正確性を確保します。さらに発音コーチを配置して、英語版でもアラビア語の発音を正確に再現したんですよ。

ミカ

そこまでやるんですね。結果はどうだったんですか?

タカシ

イラク人ゲーマーから「自国文化の真の美しさを世界に見せてくれた」と高評価を得ました。「最初からアラビア語で作られたように感じる」という声もありました。

ミカ

それはすごい褒め言葉ですね。

タカシ

パリのInstitut du Monde Arabeでミュージアム展示まで行われました。文化発信活動としても認められたんです。

Chapter 5

インディー開発者のための実践ガイド

ミカ

大手の事例はわかりましたけど、インディー開発者はどうすればいいんでしょう?文化コンサルタントを雇う予算もないですし。

タカシ

いい質問ですね。実は、MENA専門のローカライズ企業が複数あります。文化監修込みのサービスを提供しているところが多いんです。

ミカ

費用はどれくらいかかるんですか?

タカシ

翻訳は1ワードあたり10から15セント程度。文化監修は通常、ローカライズ費用の約20%追加と言われています。1言語あたりの総費用は大規模タイトルで約2万8000ドルですが、インディーならもっと抑えられます。

ミカ

思ったより手が届く範囲かもしれませんね。

タカシ

ポイントは、開発初期から文化監修者を参加させることです。後付けで修正すると高コストになります。最初から配慮した設計が大切です。

ミカ

現代標準アラビア語って、どこでも通じるんですか?

タカシ

MSA、現代標準アラビア語は22カ国で公用語です。これを基本にして、必要に応じて方言要素を追加するのがベストプラクティスです。AC Mirageもこのアプローチでした。

Chapter 6

国別の規制差異

ミカ

MENA全体で同じ規制ではないんですよね?国によって違いはあるんですか?

タカシ

大きく違います。サウジアラビアが最も厳格で、シャリーア法準拠です。UAEも厳しくて、特にドバイの描写には敏感です。カタールは2025年にRobloxを禁止しました。

ミカ

Robloxが禁止されたんですか!子供向けのゲームなのに?

タカシ

未成年保護の観点からです。アルジェリアでも同様に禁止されています。一方、レバノンは最も寛容で、多様なコンテンツが許容されています。

ミカ

同じ中東でもこんなに違うんですね。

タカシ

重要なのは、一国で問題なくても他国で禁止されるケースがあることです。UAEの判断がヨルダンやレバノンに影響することもあります。全体を見て対応する必要があります。

Chapter 7

チェックリストとクロージング

タカシ

最後に、MENA市場参入前に確認すべきチェックリストをお伝えしましょう。

ミカ

お願いします。メモの準備できてます。

タカシ

まず必須項目。宗教的シンボルや聖典引用の確認と削除。ヌードや性的表現のMENA版修正。LGBTQ+コンテンツの有無確認。ギャンブル要素の完全除去です。

ミカ

アルコールも確かダメでしたよね?

タカシ

そうです。アルコールや薬物表現の修正も必要です。あと、実在都市の破壊描写は避けてください。年齢レーティング申請と、RTL、右から左のUI対応も必須です。

ミカ

推奨される施策は何がありますか?

タカシ

文化コンサルタントの起用、できれば開発初期から。ネイティブスピーカーによるローカライズ。そして、ラマダンやEidに合わせたイベント企画も効果的です。

ミカ

今日の話を聞いて、MENA市場は確かに難しそうですけど、きちんと準備すれば大きなチャンスがあるんだなって思いました。

タカシ

その通りです。7000万人以上のゲーマーがいて、年率6から7%で成長している市場です。文化的配慮は参入障壁でもありますが、それを乗り越えれば競合も少ないブルーオーシャンなんです。

ミカ

リスナーの皆さん、MENA市場への挑戦、検討してみてはいかがでしょうか。今日もありがとうございました。

タカシ

ありがとうございました。次回のエピソードでまたお会いしましょう。さようなら。

ミカ

さようなら!