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Chapter 1 オープニング
皆さんこんにちは、インディーゲーム開発者のためのマーケティングポッドキャストへようこそ。今日は東南アジア市場、特にインドネシア、タイ、ベトナムの価格戦略について深掘りしていきます。
タカシさん、こんにちは。東南アジアって、最近よく名前を聞きますけど、ゲーム市場として実際どうなんですか?
実は東南アジアは「ハイボリューム・ローバリュー」と呼ばれる特殊な市場なんです。2025年第1四半期のモバイルゲームダウンロード数が世界2位の19.3億回なのに、課金収益は世界7位の6.25億ドルなんですよ。
ダウンロードは2位なのに、収益は7位?なんでそんなに差があるんですか?
そこがまさに今日のテーマなんです。この市場で成功するには、適切な価格設定と現地の決済手段への対応が不可欠なんですね。
Chapter 2 市場規模と国別の特徴
まず東南アジア全体の市場規模を見ていきましょう。2024年の市場規模は約54億から62億ドル。ゲーマー人口は2.86億人で、2029年には3.24億人に達すると予測されています。
2.86億人!日本の人口の2倍以上ですね。
その通りです。特に注目すべきはインドネシアで、市場シェア約30パーセント、2025年第1四半期だけで8.7億ダウンロードを記録しています。まさにボリューム最大の国ですね。
タイやベトナムはどうなんですか?
タイは意外なことに、第1四半期のアプリ内課金収益が1.62億ドルで東南アジア最高なんです。収益効率が最も高い市場ですね。一方ベトナムは成長率9パーセントで、開発者エコシステムが発達しています。
それぞれ特徴が違うんですね。モバイルが中心ですか?
東南アジアは圧倒的にモバイル優位です。プラットフォーム別シェアでモバイルが71.52パーセント。インドネシアに至ってはゲーマーの83パーセントがモバイルプレイヤーなんですよ。
Chapter 3 Steam価格設定の真実
さて、ここからはPC市場の価格戦略について見ていきましょう。皆さん、Steamの地域別価格設定をご存知ですか?
国によって値段が違うっていうのは聞いたことありますけど、東南アジアはどうなんですか?
驚くべきことに、ベトナムはすべてのゲームカテゴリで一貫して世界最安価格なんです。AAAタイトルでもアメリカより30から40パーセント安い設定になっています。
世界最安!それはかなり安いですね。
Valveは2022年に推奨値上げを発表しました。インドネシアは80パーセント、タイは57パーセント、ベトナムは47パーセントの値上げ推奨でしたが、実際にはまだ世界最安地域のままなんです。
インディー開発者としては、価格をどう設定すればいいんでしょう?
ここがポイントなんですが、インディー開発者はSteamのデフォルト推奨価格をそのまま採用するのがベストです。東南アジアは自動的に割安価格が設定されるので、手動調整は基本的に不要なんですよ。
Chapter 4 モバイルゲームのCPIと収益化
次にモバイルゲームの話をしましょう。まずCPIについて触れますね。
シーピーアイって何ですか?
Cost Per Installの略で、1ダウンロードを獲得するのにかかる広告費用のことです。これが東南アジアでは驚くほど安いんです。インドネシアのAndroidだと、なんと0.1ドル、約15円以下で1ダウンロードが取れます。
15円で1ダウンロード?アメリカとかだとどれくらいなんですか?
アメリカやオーストラリアなどのTier1市場だと、東南アジアの3.5倍くらいかかります。つまり、同じ広告予算でインドネシアなら3倍以上のユーザーを獲得できるわけです。
でも、安く獲得できても課金してくれなかったら意味がないですよね?
その通りです。だから収益化モデルが重要なんです。インドネシアとベトナムでは広告収益を主軸に設計すべきです。一方、タイはARPUが高いので課金モデルも有効ですね。
ARPUって何ですか?
Average Revenue Per User、ユーザー1人あたりの平均収益のことです。インドネシアの平均ゲーム課金額は月約300円なので、低価格帯の課金アイテムが有効なんですよ。
Chapter 5 決済手段の重要性
さて、ここが最も重要なポイントかもしれません。東南アジアの決済事情について話しましょう。
クレジットカードがあれば大丈夫じゃないんですか?
実は東南アジア平均のクレジットカード普及率はたった約10パーセントなんです。シンガポールでも42パーセント程度。カード決済だけでは市場の大半を逃すことになります。
10パーセント!じゃあみんな何で払ってるんですか?
デジタルウォレットです。東南アジア全体のゲーム決済で39パーセントがデジタルウォレット、銀行振込が27パーセント、カードは17パーセントに過ぎません。
国ごとに使われているウォレットって違うんですか?
全く違います。インドネシアはGoPay、OVO、DANAの3強。タイはTrueMoneyが市場シェア53パーセントで圧倒的。ベトナムはMoMoがアクティブウォレットの69パーセントを占めています。
全部対応するの大変そうですね。
そこでXsollaやAntomといった決済ゲートウェイを使うのがおすすめです。一つの統合で主要なローカル決済に対応できます。あとRazer Goldというプリペイドカードもゲーマーに人気ですね。
Chapter 6 インドネシアの攻略法
では、国別の具体的な戦略を見ていきましょう。まずはボリューム最大のインドネシアからです。
さっきCPIが世界最安って言ってましたよね。
はい。だからインドネシアは「ユーザー獲得のテスト市場」として最適なんです。低コストで大量のユーザーを獲得して、バイラル性や成長曲線をテストできます。
課題はありますか?
デバイス制約が大きいですね。インドネシアとフィリピンでは3ギガバイト以下のRAMのスマホが52パーセントを占めています。軽量なゲーム設計が必須です。
課金設計はどうすればいいですか?
最低価格帯は0.1から0.5ドル、主力アイテムでも1から3ドルが目安です。広告収益と組み合わせるハイブリッドモデルがベストですね。
Chapter 7 タイとベトナムの特徴
次にタイについてです。タイは東南アジアで最も収益効率の高い市場と言えます。
なぜそんなに収益効率が高いんですか?
決済インフラが成熟しているんです。PromptPayという即時送金システムが国民の92パーセントに浸透していて、毎日7500万件以上の取引が行われています。
タイ語のローカライズは必要ですか?
絶対に必要です。タイは文化的なローカライズの重要性が高い市場で、英語対応だけでは不十分です。課金設計は1から10ドル程度のIAPが有効ですね。
ベトナムはどうですか?
ベトナムはバランス型の市場です。成長率が高く、MoMoというスーパーアプリが2024年に初の黒字化を達成するなど、決済インフラも急速に発展しています。
スーパーアプリって何ですか?
決済、配車、デリバリー、保険など複数のサービスを1つのアプリで提供するものです。MoMoは5万パートナー、70の銀行と連携しています。ベトナム展開ではMoMo対応が必須ですね。
Chapter 8 為替リスクと今後の展望
最後に為替の話をしておきましょう。東南アジア通貨は変動が大きいので、価格戦略に影響します。
2026年の見通しはどうなんですか?
インドネシアルピアとベトナムドンは緩やかな通貨安が続く見込みです。つまりドル建て価格を維持すれば、現地通貨では実質値上げになります。一方、タイバーツはバーツ高傾向なので、価格の見直しが必要かもしれません。
インディー開発者としては、どの国から始めるのがいいですか?
フェーズ分けをおすすめします。まずインドネシアでユーザー獲得とバイラルテスト、次にタイで収益化の最適化、そしてベトナムでスケール拡大という流れが効果的です。
Chapter 9 クロージング
さて、今日のポイントをまとめましょう。東南アジアはハイボリューム・ローバリューの市場ですが、適切な価格設定と決済対応で大きなチャンスがあります。
クレジットカードじゃなくてデジタルウォレット対応が必須、というのは意外でした。
そうですね。インドネシアでテスト、タイで収益化、ベトナムで拡大というステップを踏めば、効率的に東南アジア2.86億人のゲーマーにリーチできます。
低いCPIを活かしてテストするっていう発想、面白いですね。
東南アジアは、グローバル成長率3.2パーセントを上回る3.7パーセントで成長している市場です。今のうちにノウハウを蓄積しておく価値は十分にあると思いますよ。
今日は東南アジア市場の価格戦略について、とても勉強になりました。リスナーの皆さん、ぜひ参考にしてみてくださいね。
それでは、また次回のエピソードでお会いしましょう。さようなら。
さようなら!