スクリプト
Chapter 1 オープニング
皆さんこんにちは、インディーゲーム開発のためのポッドキャストへようこそ。今日は、中規模ヒットを達成した3つの事例を徹底分析していきます。
タカシさん、今日のテーマは中規模ヒットですか。具体的にはどんなタイトルを取り上げるんですか?
今日取り上げるのは、8番出口、NEEDY GIRL OVERDOSE、そしてドイツ発のDome Keeper。この3本を比較しながら、成功の共通パターンを探っていきます。
8番出口は映画化もされましたよね。あれ、最初は個人開発だったんですか?
驚くべきことに、たった1人で開発されたんです。しかも実作業期間はわずか3ヶ月。それで230万本以上売れて、推定売上は約8から10億円と言われています。
Chapter 2 8番出口:個人開発の奇跡
1人で3ヶ月で10億円って、ちょっと信じられないですね。どういう経緯でそうなったんですか?
開発者のコタケさんは、元々日本のゲーム会社で4年間3Dアーティストとして働いていた方なんです。独立後、別の大作を開発していたんですが、それが長期化してしまって。
なるほど、そこで短期間で作れる作品を企画したってことですか?
まさにその通りです。開発費と生活費を稼ぐ目的もあったそうです。P.T.やThe Backroomsなどに影響を受けた「異変探し」というシンプルなコンセプトで、構想6ヶ月、実作業3ヶ月で完成させました。
価格設定も特徴的ですよね。確か500円もしないですよね?
470円です。この低価格戦略が効きました。衝動買いしやすい価格帯で、配信者も気軽にプレイしてくれる。結果、配信映えするゲーム性と相まって、SNSでバイラルしたんです。
その後の展開もすごいですよね。映画の興行収入45億円超って聞きました。
ここが面白いんですが、8番出口は単なるゲームヒットで終わらず、映画化、VRChat連携、アパレルコラボなど、IP全体で収益を生むモデルに発展しました。二宮和也さん主演で東宝が製作、さらに北米配給も決まっています。
Chapter 3 NEEDY GIRL OVERDOSE:中国市場の爆発力
次に紹介するNEEDY GIRL OVERDOSEは、また違った成功パターンを見せています。こちらは4人のコアチームで約1年7ヶ月かけて開発されました。
NGOって略されることも多いですよね。どんなゲームでしたっけ?
配信者シミュレーターですね。「超てんちゃん」という不安定なヒロインをトップ配信者に育てる、マルチエンディングのアドベンチャーゲームです。メンヘラというネット文化に根差したテーマが特徴です。
これ、中国で特に売れたんでしたよね?
意外なことに、売上の50パーセント以上が中国からなんです。発売後数日で、中国からのウィッシュリストが14万件に達して、日本の2倍になりました。
日本向けに作ったゲームが中国で大ヒットって、想定外だったんじゃないですか?
まさにそうですね。現在は300万本を超えていて、推定売上は約50億円。さらに、INTERNET YAMEROというダンスがTikTokで7,960万回再生されるバイラル現象も起きました。
ゲームから派生したコンテンツがまた話題を呼ぶという好循環ですね。
その通りです。関連楽曲の再生数は4億回を超え、2026年4月にはアニメ化も予定されています。ゲーム単体ではなく、IPとしての広がりが継続的な収益を生んでいます。
Chapter 4 Dome Keeper:ゲームジャムからミリオンセラーへ
3つ目の事例は、ドイツの夫婦2人が開発したDome Keeperです。これはまた別の成功パターンを示しています。
夫婦2人で開発って、なんだか素敵ですね。どんなゲームなんですか?
タワーディフェンスと採掘ローグライトを組み合わせたゲームです。ドームを守りながら地下を掘って資源を集める。シンプルながら中毒性の高いループが特徴ですね。
実は私、このゲームの開発経緯がすごく気になっていて。ゲームジャムから始まったって本当ですか?
ここが面白いんですが、元々はLudum Dare 48という72時間のゲームジャムで作った「Dome Romantik」が原型なんです。それを約1年半かけて製品版に仕上げました。
72時間で作ったプロトタイプが製品版になったんですか。でもパブリッシャーはどうやって見つけたんでしょう?
驚くべきことに、ハッシュタグ「スクリーンショットサタデー」でのツイートを、Raw Furyのスカウトが発見したんです。毎週土曜に開発中のスクリーンショットを投稿する文化があるんですね。
SNSがパブリッシャーとの出会いになったんですね。売上はどれくらいだったんですか?
SteamSpyの推計で200万から500万本、推定売上は約8億円です。発売数時間で開発費を回収したと言われています。
Chapter 5 Dome Keeperの段階的マーケティング戦略
パブリッシャーがついたら、マーケティングはどう進んだんでしょう?
Raw Furyの戦略がとても参考になります。まずデモをリリースして4万ウィッシュリストを獲得。そこからプリパーチェスという発売前予約を開始して、さらに10万ウィッシュリストを追加しました。
プリパーチェスって何ですか?
発売前に予約購入できる仕組みです。Steamでは予約数がValveへのシグナルになり、発売日にポップアップ表示を獲得しやすくなる。結果、Dome Keeperは発売日に100万ドルを達成しました。
発売日だけで1億円超ですか。すごい初速ですね。
さらに興味深いのは、メジャーアップデート後に同時接続者数が2,500パーセント増加したことです。継続的なアップデートで、発売後も長期間プレイヤーを呼び戻しているんですね。
2,500パーセントって、25倍ですよね。アップデートでそこまで伸びるんですか。
はい。これは「ゲームはサービス」という考え方の好例です。発売して終わりではなく、継続的に価値を追加することで、長期的な売上を維持できるわけです。
Chapter 6 3事例の共通パターン
さて、ここからは3事例の共通点を整理していきましょう。まず注目すべきは、全て小規模チームだということです。
8番出口が1人、NGOが4人、Dome Keeperが2人でしたよね。大手スタジオでなくてもヒットは出せるってことですか?
その通りです。むしろ小規模だからこそ、意思決定が速く、ユニークなアイデアを形にできたとも言えます。ただし、3事例ともパブリッシャーと契約しているのは共通しています。
パブリッシャーは必須なんでしょうか?
必須ではありませんが、別の調査データによると、パブリッシャー支援があると売上が6倍になるという結果もあります。マーケティング、ローカライズ、プラットフォーム展開を任せられるメリットは大きいですね。
価格設定も共通点がありますか?
はい。8番出口が470円、NGOが1,680円、Dome Keeperが約2,700円。4ドルから18ドルの低から中価格帯に収まっています。配信者が気軽にプレイできる価格帯ですね。
配信者との相性って、やっぱり重要なんですね。
まさにその通りです。3事例とも、見て楽しい、配信映えするゲーム性を持っています。8番出口の異変探し、NGOの予測不能な展開、Dome Keeperの緊張感あるループ。SNSでシェアされやすい瞬間を内包しているんです。
Chapter 7 新規スタジオへの実践的アドバイス
これからインディーゲームを作りたい人へのアドバイスはありますか?
はい、いくつかポイントがあります。まず開発期間は、実作業3ヶ月から9ヶ月で完成できるスコープに絞ることをお勧めします。長期化すると資金も尽きますからね。
Dome Keeperのようにゲームジャムから始めるのも良さそうですね。
意外なことに、Bippinbitsはitch.ioで14作品をリリースして、そのうち12作がLudum Dare参加作なんです。ゲームジャムでプロトタイプを検証し、反応の良いものを製品化する。これは再現性の高いパイプラインです。
14作品も作ってから大ヒットが出たんですか。継続が大事なんですね。
別の調査では、4から5作品目で成功するケースが多いというデータもあります。最初から大ヒットを狙うより、作り続けることが重要です。
初作品の現実的な目標ってどれくらいなんでしょう?
ここが大事なポイントです。今日紹介した3事例は実は大ヒットの領域なんです。初作品の目標は1万から10万本。中規模ヒットは10万から50万本。50万本以上が大ヒット。現実的な期待値を持つことが重要です。
Chapter 8 クロージング
さて、今日のポイントをまとめましょう。3事例から見えてきた成功パターンは、小規模チーム、低から中価格帯、配信映えするゲーム性、そしてパブリッシャーの活用です。
あと、継続的な展開も重要でしたよね。アップデートやメディアミックス。
その通りです。8番出口の映画化、NGOのアニメ化と楽曲展開、Dome Keeperの継続アップデート。1作のヒットを数年単位で収益化する発想が大切です。
今日の話を聞いて、インディーゲーム開発への夢が広がりましたし、同時に現実的な視点も得られました。
夢と現実のバランスが大事ですね。まずは小さく始めて、作り続ける。その中から次のヒットが生まれるかもしれません。皆さんの開発の参考になれば幸いです。
今日は中規模ヒットの事例分析について、とても勉強になりました。リスナーの皆さん、ぜひ感想を教えてくださいね。
それでは、また次回のエピソードでお会いしましょう。さようなら。
さようなら!