スクリプト
Chapter 1 オープニング
皆さんこんにちは、ゲーム開発者のためのリサーチポッドキャストへようこそ。今日は、2025年7月に発表された上海パイロット政策について、インディー開発者の視点から徹底解説します。
タカシさん、こんにちは。上海パイロット政策って、何か中国市場に大きな変化があったんですか?
実は、これがなかなか複雑な話でして。期待されていた政策なんですが、2026年1月時点でも実施詳細が未確定なんです。今日はその真相と、中国市場の最新データをお伝えします。
えっ、まだ詳細が決まってないんですか?それは気になりますね。
Chapter 2 上海パイロット政策とは何か
まず、上海パイロット政策について説明しましょう。これは2025年7月に発表された試験制度で、外資系企業が上海で開発したゲームを「国産ゲーム」として扱えるようにする仕組みです。
国産ゲーム扱いになると、何が変わるんですか?
中国でゲームを正式に配信するには「版号」という許可が必要なんですが、外国ゲームの版号取得は非常に難しいんです。2025年の版号承認を見ると、全1,771本のうち外国ゲームはたった95本、わずか5.4パーセントでした。
5.4パーセント!それはすごく狭き門ですね。でも、国産扱いになれば通りやすくなる?
理論上はそうなんですが、ここが問題なんです。この政策はNPPA、つまり中国の版号を発行する当局の協力が必要で、2026年1月時点でも実施詳細が未確定なまま。さらに、対象として想定されているのは主にUbisoftやBlizzardなどの大手企業なんです。
あれ、じゃあインディー開発者は対象外ってことですか?
残念ながら、現実的にはそうなります。上海に拠点を置いて開発するという条件を満たすのは、小規模スタジオには難しい。結論として、インディーへの適用は非現実的と判断されています。
Chapter 3 中国Steam市場の驚異的な規模
ただし、ここで重要なのは、インディー開発者にとって版号がなくてもSteam経由で中国市場にアクセスできるということなんです。
そうですよね、Steamは中国でも使えるんですよね?
驚くべきことに、中国語ユーザーはSteamで最大の言語グループなんです。2024年は33.7パーセントで英語を上回っていましたが、2025年2月にはなんと50.06パーセントに急増しました。
50パーセント!Steamユーザーの半分以上が中国からってことですか?
これは旧正月の一時的な急増なんですが、それでも常時30パーセント以上を占めています。ユーザー数は1,140万人、トラフィックは26.1パーセント。市場規模に換算すると約1兆3,272億円で、世界最大のSteam市場なんです。
1兆3,000億円以上って、とんでもない数字ですね。これは無視できない市場だ。
Chapter 4 Steam遮断リスクの現状評価
でも、Steamっていつか中国でブロックされるんじゃないかって心配もありますよね。実際どうなんですか?
いい質問ですね。現状を整理すると、Steamは遮断されていません。VPNなしでアクセス可能です。ただ、Steam Chinaという中国版Steamが存在するので、いつでも遮断できる状態ではあります。
うーん、リスクはあるけど今は大丈夫ってことですか。
実は、2025年の版号承認数1,771本は2018年以来最多なんです。これは規制緩和の傾向を示唆しています。ただし、これを過信して中国市場に50パーセント以上依存するのは危険です。
分散が大事ってことですね。一つの市場に頼りすぎないと。
Chapter 5 中国市場のCPIとARPU
さて、マーケティング視点で重要な指標、CPIとARPUについても見ていきましょう。
CPIとARPUって何ですか?
CPIはCost Per Installの略で、1ダウンロードあたりの広告獲得コストです。ARPUはAverage Revenue Per Userで、ユーザー1人あたりの平均収益ですね。
なるほど。中国はどれくらいなんですか?
中国のARPUは2024年で68ドル、2029年には73ドルに成長すると予測されています。モバイルのCPIは、iOSで2ドルから5ドル以上、Androidは0.30ドルから1.50ドル程度です。
iOSとAndroidでだいぶ差がありますね。
そうなんです。中国のiOSユーザーは購買力が高い傾向がありますね。全体の市場規模は3,508億元、約498億ドルで、前年比7.7パーセントの成長を見せています。
Chapter 6 海外開発者の成功事例
実際に海外のインディー開発者で中国市場で成功した事例ってあるんですか?
はい、とても興味深い事例があります。Defender's Questというゲームは、中国語ローカライズを追加した後、たった1週間で中国での生涯売上の45パーセントを獲得したんです。
1週間で生涯売上の45パーセント!ローカライズの効果ってそんなに大きいんですね。
これは重要なポイントです。中国語対応しないと68から90パーセントの潜在顧客を失うと言われています。逆に言えば、ローカライズだけで大きなリターンが期待できる市場なんです。
中国発のインディーゲームで参考になる事例はありますか?
Sultan's Gameが良い例ですね。発売3週間で45万本を売り上げ、INDIE Live Expo 2025でグランプリを獲得しました。中国からもグローバルで成功するタイトルが出てきているんです。
Chapter 7 インディー開発者への実践的アドバイス
結局、インディー開発者としては中国市場にどうアプローチすればいいんでしょう?
結論から言うと、上海パイロット政策に期待するのではなく、従来通りSteam国際版を通じたアプローチが最善です。版号取得は現実的ではないので、海外サーバーのみで展開する戦略ですね。
具体的にはどんなステップを踏めばいいですか?
まず第一に、簡体字中国語のローカライズ。これは必須です。次に、Bilibiliを中心としたマーケティング。予算があれば、現地のKOL、つまりインフルエンサーとの連携も効果的です。
前に教えてもらったBilibiliですね。中国版YouTubeみたいなやつ。
そうです。そして重要なのは、中国市場依存度を50パーセント以下に抑えること。どんなに好調でも、政策リスクは常にあります。分散戦略が鍵になります。
Chapter 8 クロージング
さて、今日のポイントをまとめましょう。上海パイロット政策は大手企業向けで、インディーには現実的ではありません。しかし、Steam経由の中国市場は世界最大で、十分にアクセス可能です。
ローカライズをすれば大きなチャンスがあるけど、依存しすぎないことが大切ですね。
その通りです。1兆3,000億円以上の市場が、ローカライズという比較的低コストな投資でアクセスできる。これはインディー開発者にとって大きなチャンスです。ただし、分散戦略を忘れずに。
中国市場って難しそうなイメージがありましたけど、Steamを使えば意外とハードルは低いんですね。
規制の動向は常にチェックが必要ですが、現時点では版号承認数も増加傾向で、むしろ追い風が吹いています。皆さんもぜひ検討してみてください。
今日は上海パイロット政策と中国市場の最新事情について、とても勉強になりました。リスナーの皆さんはどう思いましたか?ぜひ感想を教えてくださいね。
それでは、また次回のエピソードでお会いしましょう。さようなら。
さようなら!