スクリプト
Chapter 1 オープニング
皆さんこんにちは、ゲーム開発者のためのポッドキャストへようこそ。今日は中国市場への参入について、実務的なガイドをお届けします。
タカシさん、こんにちは。中国市場って、インディー開発者にとっては規制が厳しいイメージがあるんですけど、実際どうなんですか?
いい質問ですね。実は、意外なことに、多くの成功しているインディーゲームは正式な認可を取らずに中国で売れているんです。
えっ、認可なしで売れるんですか?それってどういうことですか?
Chapter 2 成功事例:Slay the SpireとIt Takes Two
まず具体的な成功事例を見ていきましょう。Slay the Spireというデッキ構築ローグライクゲーム、ご存知ですか?
あ、知ってます。カードゲームとダンジョン探索を組み合わせたやつですよね。すごく人気があった印象です。
驚くべきことに、このゲームの中国市場シェアはなんと43パーセントなんです。65万本以上が中国で売れています。
43パーセント!アメリカより多いってことですか?
その通りです。さらに面白いのは、このゲームは中国語にローカライズする前から、すでにプレイヤーの半数以上が中国人だったんです。配信者バイラルで火がついたんですね。
へえ、翻訳前から人気だったんですね。It Takes Twoはどうだったんですか?
It Takes Twoはさらにすごくて、中国シェアが約50パーセント。1150万本以上が中国で売れた計算になります。協力プレイと家族テーマが中国市場に刺さったんです。
50パーセントって、世界の半分が中国からってことですよね。すごい市場規模ですね。
Chapter 3 推奨参入ルート:海外サーバーのみ戦略
さて、ここが今日の核心なんですが、インディー開発者におすすめの参入ルートは「海外サーバーのみ」、つまりSteam国際版での配信なんです。
え、正式に中国国内で販売しないってことですか?版号ってやつは取らなくていいんですか?
実は、版号取得は外国企業にとって非常に困難なんです。申請から取得まで6ヶ月から12ヶ月以上かかり、必ず中国の現地パブリッシャーを通す必要があります。
版号って何ですか?ゲームの許可証みたいなものですか?
そうですね、中国国内でゲームを正式に販売するために必要な認可です。でも、先ほどの成功事例、Slay the SpireもIt Takes Twoも、版号なしでSteam国際版から中国市場を獲得しているんです。
なるほど、中国のプレイヤーがSteam国際版を使っているから、そこで買えるってことですね。
まさにその通りです。2024年時点でSteamの言語シェアで中国語が33.7パーセントを占めていて、英語を上回っています。この巨大な市場に、版号なしでもアクセスできるんです。
Chapter 4 中国向けパブリッシャーと参入コスト
でも、自分たちだけで中国市場にアプローチするのは難しそうですよね。何かサポートしてくれる会社はあるんですか?
実は中国向けに強いインディーパブリッシャーがいくつかあります。Gamirror Gamesは1億1200万ドルの売上で94タイトル、Indie Arkは8940万ドルで55タイトルを扱っています。
億ドル単位ですか。結構大きいパブリッシャーなんですね。他にもありますか?
Coconut Island、2P Games、そしてBiliBili Gamesも中国市場に強いです。2P Gamesは3550万ドルで49タイトルを扱っていますね。
自分でやる場合、ローカライズにはどれくらいかかるんですか?
簡体字中国語の翻訳は、5万ワードで6000ドルから9000ドルが目安です。LQA、つまりローカリゼーション品質保証が800ドルから1600ドル。配信者マーケティングは0ドルから1万ドル程度ですね。
日本円に換算すると、翻訳だけで90万円から135万円くらいですか。結構かかりますね。
そうですね。ただ、参入タイムラインとしては、準備を発売の3から6ヶ月前から始めて、ローカライズに1から3ヶ月、そして発売日にはDay 1で中国語対応というのが理想的です。
Chapter 5 ローカライズ品質の重要性
ここで重要な注意点があります。ローカライズ品質は中国市場では特に重要なんです。
品質が重要というのは、どういうことですか?機械翻訳じゃダメってことですか?
実は、Hollow KnightのSilksongが良い反面教師になります。このゲームは低品質な中国語翻訳のせいで、なんと1万4000件もの低評価を受けてしまったんです。
1万4000件の低評価!それはひどいですね。せっかく中国シェアが23パーセントもあったのに。
そうなんです。Silksongの中国シェアは23.3パーセントで、アメリカの18.4パーセントを超えていました。それだけ期待されていたのに、翻訳品質で評価を落としてしまった。
中国のゲーマーは翻訳品質に厳しいんですね。
非常に厳しいです。だからこそ、コストを削って機械翻訳だけで済ませるのは危険です。プロの翻訳者とネイティブチェックは必須だと考えてください。
Chapter 6 政治・文化配慮の注意点
中国市場って、コンテンツの規制もあるって聞きますけど、どういうことに気をつければいいんですか?
重要なポイントですね。政治的・文化的に敏感な内容は避ける必要があります。具体的には、日本帝国旗、チベットや台湾に関する内容、天安門などは絶対に回避してください。
なるほど。ゲームの設定やストーリーで、そういった要素が入っていないかチェックする必要があるんですね。
その通りです。また、骸骨やゾンビ、血液の表現なども中国版では差し替えが必要になることがあります。グローバル版と中国版でアセットを分ける開発者もいますね。
開発コストが上がりそうですね。
そうですね。ただ、50パーセントの市場シェアを持つ可能性があるなら、その投資は十分にペイすると思います。
Chapter 7 リスク管理:中国依存度
最後にリスク管理について触れておきます。実は、中国市場依存度が50パーセントを超えるのは危険なんです。
え、でもさっきの成功事例って50パーセント近くありましたよね。なぜ危険なんですか?
中国の規制は突然変わることがあるんです。もし何らかの理由でSteam国際版へのアクセスが制限されたら、収益の半分以上が一瞬で消える可能性があります。
それは怖いですね。じゃあ、どうすればいいんですか?
中国市場を積極的に狙いつつも、日本、北米、欧州といった他の市場でのマーケティングも並行して行うことが大切です。ポートフォリオ的な考え方ですね。
1つの市場に依存しすぎないってことですね。投資と同じ考え方だ。
Chapter 8 クロージング
さて、今日のポイントをまとめましょう。中国市場参入で最も推奨されるのは、版号なしのSteam国際版ルートです。成功事例が多数あります。
Slay the Spireが43パーセント、It Takes Twoが50パーセント。配信者バイラルと高品質ローカライズが鍵でしたね。
その通りです。コストは翻訳で6000ドルから9000ドル、LQAで800ドルから1600ドル。発売の3から6ヶ月前から準備を始めることをおすすめします。
そしてローカライズ品質が命。Silksongの1万4000件低評価は教訓ですね。
最後に、中国市場依存50パーセント超えはリスク。分散投資の考え方で、複数の市場をバランスよく狙っていきましょう。
今日は中国市場参入の実務ガイドについて、とても具体的に学べました。リスナーの皆さんも、ぜひ参考にしてみてくださいね。
それでは、また次回のエピソードでお会いしましょう。さようなら。
さようなら!