スクリプト
Chapter 1 オープニング
皆さんこんにちは、インディーゲーム開発者のためのポッドキャストへようこそ。今日は、多くの開発者が気になっているであろうテーマ、Xbox Game Passの報酬について詳しくお話しします。
タカシさん、こんにちは。Game Passってよく聞くんですけど、実際に開発者にいくら払われているのか、あまり公開されていないですよね?
実は、元Microsoftのビジネス開発マネージャーが最近、興味深い情報を公開しました。500件以上の契約を交渉した経験から、5万ドルから5000万ドル以上まで、幅広い金額が支払われているそうです。
5万ドルから5000万ドル!その差、1000倍じゃないですか。何がそんなに違いを生むんでしょう?
Chapter 2 タイトル規模別の報酬範囲
まず、タイトルの規模によって報酬は大きく変わります。インディーの小規模タイトル、開発費3万ドル以下のものだと、5万ドルから10万ドル程度が目安です。
開発費3万ドル以下ってことは、ほぼ個人開発クラスですね。それでも5万ドルもらえるなら、開発費以上じゃないですか。
その通りです。そして中規模インディー、例えばCooking Simulatorのようなタイトルだと、10万ドルから60万ドルの範囲になります。
Cooking Simulatorって、あの料理ゲームですよね?実際にいくらもらったんですか?
ここが面白いんですが、公式に発表されています。60万ドル、日本円で約9000万円です。しかも、これはゲーム発売後の後追い収録での金額なんです。
60万ドル!しかも後追いでそれだけもらえるんですか。
さらに驚くべきことに、この60万ドルは、開発スタジオであるBig Cheese Studioの前年度収益の22パーセントに相当したそうです。追加収益としてはかなりの額ですよね。
Chapter 3 AAA大作の契約金額
インディーの金額はわかりました。じゃあ、AAA大作だとどれくらいになるんですか?
実は、FTC訴訟の中でリークされた情報があります。Microsoftは、Baldur's Gate 3に対して500万ドルを提示したそうですが、交渉は成立しませんでした。
えっ、Baldur's Gate 3がGame Passに来る可能性があったんですか?でも500万ドルでも断られたんですね。
もっと驚くのは、Star Wars Jedi: Survivorへの提示額です。なんと3億ドル、日本円で約450億円です。ただし、これも交渉不成立でした。
450億円!それでも断るって、Game Passに入ると売上がそれだけ減るってことですか?
いい質問ですね。Microsoftの内部分析によると、Game Pass追加後12ヶ月で、通常販売の最大80パーセントが減少するケースもあるそうです。
Chapter 4 ジャンル別の契約傾向
どんなジャンルのゲームがGame Passに好まれるんですか?
Microsoftが最も優先するのは、協力プレイゲームとローグライク系です。なぜかというと、エンゲージメント時間が長く、口コミ効果も高いからです。
エンゲージメントって何ですか?
プレイヤーがどれだけ長くゲームを遊び続けるか、という指標です。Game Passは月額サービスなので、長く遊んでもらえるゲームが解約防止に繋がるんですね。
なるほど。じゃあ、短いゲームは不利ってことですか?
その通りです。ショートホラーや異変探し系、パズルやカジュアルゲームは、契約を取りにくい傾向があります。プレイ時間が短いと、低予算契約になりがちですね。
Chapter 5 Day 1収録vs後追い収録
発売日にGame Passに入れるのと、後から入れるのと、どっちがいいんでしょう?
これは非常に重要な判断ポイントです。Day 1、つまり発売日同時収録だと、開発費保証型の契約が多く、報酬は高い傾向にあります。
それなら発売日から入れた方がいいじゃないですか。
ところが、問題があります。先ほど言った通り、通常販売が最大80パーセント減少する可能性があるんです。Hi-Fi Rushは300万プレイヤーを獲得しましたが、開発元のTango Gameworksは2024年6月に閉鎖されました。
えっ、300万人遊んでも会社が潰れたんですか?
Game Passでのプレイヤー数と、実際の収益は別物なんです。一方、Cooking Simulatorのように、Steamで70万本売った後に後追いで60万ドル獲得する方法もあります。
じゃあ、余裕があるなら後追いの方がいいってことですか?
資金難ならDay 1契約で開発費保証を取る、余裕があるならSteamで売上を立ててから後追いで追加収益を狙う。状況に応じて使い分けるのがベストです。
Chapter 6 交渉のベストプラクティス
実際に交渉するとき、どうすれば有利になれるんですか?
最も重要なのは、Steam等での実績です。「うちのゲームはSteamで10万本売れています」と言えれば、リスクが低いと判断されて交渉力が上がります。
逆に、実績がない新作だと厳しいってことですか?
そうですね。ただ、配信者に取り上げられてバイラルになった実績も有効です。Vampire Survivorsは、話題性で早期に発掘されて契約に至りました。
他に気をつけることはありますか?
複数のパブリッシャーと同時に交渉することです。Epic Games StoreやPS Plusとも話を進めていると伝えれば、競争原理が働いて条件が良くなります。
なるほど、選択肢を持つことが大事なんですね。
あと、避けるべきなのは、Xbox/PC独占のみの長期契約です。12ヶ月を超える独占は、PlayStationやSwitchでの売上機会を大きく損ないます。独占期間は6ヶ月以下を目指しましょう。
Chapter 7 2024-2025年の市場変化
最近、Game Passの状況って変わってきているんですか?
残念ながら、ゴールドラッシュは終わりつつあります。GDC 2024で、Slay the SpireやDarkest Dungeonの開発者が証言しています。以前ほど大きな契約は得られなくなったと。
えー、それはショックですね。でもなぜ減ったんですか?
2019年から2022年は、MicrosoftもEpic Gamesも積極的にタイトルを獲得していた時期でした。でも2023年以降は、選別が厳しくなって契約金も減少傾向にあります。
じゃあ今後はどうなるんでしょう?
厳選されたタイトルのみが高額契約を得られる、安定期に入ると見られています。ID@Xboxは累計25億ドル以上をインディー開発者に支払っていますから、チャンスはあります。ただし、以前のような「とりあえず入れば儲かる」時代ではなくなりました。
Chapter 8 クロージング
さて、今日のポイントをまとめましょう。Game Passの報酬は、タイトル規模やジャンル、タイミングによって5万ドルから5000万ドルまで大きく変わります。
エンゲージメントの長いゲーム、協力プレイやローグライクが好まれるってことですね。
そして、Day 1収録と後追い収録は一長一短。資金状況に応じて選択することが重要です。必ずSteamでの実績を作ってから交渉に臨むのがベストですね。
ゴールドラッシュは終わったけど、チャンスはまだある。戦略的に動くことが大事ってことですね。
その通りです。最後に一つ、判断基準をお伝えします。Game Pass契約金が、Xbox市場での予想売上の80パーセント以上なら契約推奨。50パーセント以下なら非推奨です。
具体的な数字があると判断しやすいですね。今日はGame Passの報酬について、とても勉強になりました。リスナーの皆さんも、自分のゲームにどう当てはまるか考えてみてください。
それでは、また次回のエピソードでお会いしましょう。さようなら。
さようなら!