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Chapter 1 オープニング
皆さんこんにちは、インディーゲーム開発者のためのポッドキャストへようこそ。今日のテーマは「Steam以外のPCプラットフォーム」です。
タカシさん、こんにちは。Steamがメインだとは聞きますけど、他のプラットフォームって実際どうなんですか?
実は、ここが今日の重要なポイントなんですが、PC市場におけるSteamのシェアは約90パーセントと圧倒的なんです。でも残りの10パーセントにも戦略的な価値があるんですよ。
90パーセントですか。じゃあ、他のプラットフォームって意味あるんですか?
それがあるんです。状況によってはSteamより有利な条件で販売できたり、リスクを軽減できたりします。今日はその具体的な戦略をお伝えしますね。
Chapter 2 収益分配の基本
まず、各プラットフォームの収益分配率を比較してみましょう。Steamは開発者70から80パーセント、プラットフォームが20から30パーセントです。
70から80パーセントって幅がありますね。何で変わるんですか?
売上に応じて変わります。1000万ドル以上で75パーセント、5000万ドル以上で80パーセントになります。つまり大ヒットしないと基本は70パーセントですね。
なるほど。他のプラットフォームはどうですか?
驚くべきことに、Epic Games Storeは開発者88パーセントが基本です。さらに特定条件で100パーセント、つまり手数料ゼロになるプログラムもあるんですよ。
100パーセントって、全部開発者に入るってことですか?それはすごいですね。
Chapter 3 Epic Games Storeの戦略
Epic Games Storeの戦略を詳しく見ていきましょう。まず独占契約というオプションがあります。
独占契約って何ですか?SteamでCPS出さないってことですか?
そうです。通常12ヶ月間、Epic以外のプラットフォームで販売しない代わりに、最低保証額という形でEpicが前払いしてくれるんです。
前払いってことは、売れなくてもお金がもらえるんですか?
その通りです。例えば、ゲームのControlは1045万ドル、Metro Exodusは3700万ドルの最低保証を受けています。
3700万ドル!すごい金額ですね。でも何かデメリットはないんですか?
ここが面白いんですが、実はMetro Exodusは保証額の3分の1も回収できず、Epicに2200万ドル以上の損失を与えたんです。Tim Sweeney CEOも「多くの独占契約は良い投資ではなかった」と認めています。
えっ、じゃあ開発者にとっては良い話だけど、Epicは損してるってことですか?
大型タイトルの場合はそうですね。ただし小規模インディーの場合、保証額は10万から50万ドル程度で、しかもほとんどのゲームが保証額を上回る売上を達成できていないんです。
なるほど、規模によって状況が違うんですね。
Chapter 4 Epicの新プログラム
さて、2023年からEpicは「First Run」という新しいプログラムを始めました。これがインディーにとって注目なんです。
First Runって何ですか?
6ヶ月間Epic独占で販売すると、最初の6ヶ月は収益の100パーセントが開発者に入り、それ以降は88パーセントになるプログラムです。
最初の半年は手数料ゼロってことですか?それは魅力的ですね。
さらに2024年からは、Unreal Engine使用かつEpic独占のタイトルに対して、年間100万ドルまで収益分配0パーセントというプログラムも始まりました。
Unreal Engine使ってる開発者には特にお得なんですね。
ただし注意点があります。Epic Games Storeの市場シェアは約3パーセントで、両プラットフォームで同時展開した場合、EGS売上はSteam売上の3から5パーセント程度という報告もあります。
Chapter 5 GOGとDRM-free戦略
次はGOG、Good Old Gamesについてお話ししましょう。CD Projektが運営しているプラットフォームです。
CD Projektって、ウィッチャーやサイバーパンクを作った会社ですよね?
その通りです。GOGの最大の特徴は全てのゲームがDRM-free、つまりコピー防止なしで販売されている点です。
DRM-freeって、コピーし放題ってことですか?開発者は大丈夫なんですか?
実は、DRM-freeを好むユーザーコミュニティが存在するんです。彼らは購入したゲームを自由に所有したいという価値観を持っていて、そのためにGOGを選んで購入してくれます。
なるほど、考え方の違いなんですね。収益分配はどうですか?
GOGは70/30でSteamと同じです。ただ、前払いプログラムというオプションがあり、前払いを受ける場合は回収まで60/40になります。
GOGでの売上ってSteamと比べてどれくらいですか?
一般的にSteam売上の5から10パーセント程度と言われています。特にクラシックゲームやレトロ風ゲーム、CRPGなどはGOGユーザーとの相性が良いですね。
Chapter 6 itch.ioの可能性
さて、最も自由度が高いプラットフォームがitch.ioです。2013年設立で、現在100万以上の作品が公開されています。
100万作品ってすごいですね。でも聞いたことない名前のゲームが多そう。
実は89パーセントが無料ゲームなんです。でもここが面白いのは、収益分配率を開発者が自分で決められるんですよ。デフォルトは90/10で、なんと0パーセントに設定することも可能です。
自分で手数料を決められるんですか?それは珍しいですね。
さらに「Pay-What-You-Want」という仕組みがあって、購入金額の30パーセントが最低価格を超える額として支払われています。無料ゲームへの寄付平均は3.68ドルなんです。
無料なのに3.68ドル払ってくれるんですか。優しいユーザーが多いんですね。
意外なことに、itch.ioから始まってSteamで大成功したゲームも多いんです。CelesteやUndertaleは、itch.ioでプロトタイプやデモを公開してからSteamで大ヒットしました。
Undertaleもitch.io出身なんですか!それは知りませんでした。
itch.ioはプロトタイプ公開やゲームジャム参加、市場反応のテストに最適なプラットフォームです。ただし、主要収益源としては期待しない方がいいですね。
Chapter 7 Humble Bundleの活用
最後にHumble Bundleについてお話ししましょう。これは収益分配の仕組みがユニークで、開発者65パーセント、チャリティ20パーセント、Humble15パーセントがデフォルトです。
チャリティに20パーセント行くんですか?それは素敵ですね。
そうなんです。ただ、バンドル参加時の単価はかなり低くなります。例えばMonacoは37万本売れて21万5000ドル、1本あたり約0.58ドルでした。
0.58ドル?かなり安いですね。それでも参加するメリットってあるんですか?
ここが重要なんですが、Humble購入者とSteam購入者は別のセグメントなんです。Monacoの開発者によると、バンドル参加中もSteam売上はほぼ横ばいを維持したそうです。
カニバリゼーションが起きないってことですか?
その通りです。開発者の言葉を借りると「これらはそうでなければ発生しなかった購入」なんです。発売から6から12ヶ月経った作品の追加収益化や、続編発売前の認知度向上に効果的ですね。
Chapter 8 総合戦略とまとめ
では最後に、状況別の推奨戦略をまとめましょう。まず、資金不足でリスクを軽減したい場合は、Epic独占契約で最低保証を獲得し、1年後にSteam展開がおすすめです。
なるほど、保証金で財務を安定させるわけですね。
Unreal Engineを使っている場合は、EGS First Runの100パーセント収益プログラムを活用した後、Steam同時展開が効率的です。
実験的な作品を作っている人はどうですか?
実験的な作品は、まずitch.ioでプロトタイプを公開して反応を見てからSteam展開を検討するのがいいですね。CelesteやUndertaleもその流れでした。
プラットフォームを展開する優先順位ってどうなりますか?
基本的には、1番がSteam、2番がEpic Games Store、3番がGOG、4番がitch.ioでの開発初期テスト、5番がHumble Bundleでの長期収益化、という順番がおすすめです。
今日はSteam以外のプラットフォームについて、とても詳しく学べました。状況に応じて使い分けることが大事なんですね。
はい、Steamが圧倒的なのは事実ですが、それぞれのプラットフォームには戦略的な価値があります。皆さんのゲームと状況に合わせて、最適なプラットフォーム戦略を考えてみてください。
リスナーの皆さん、今日の内容はいかがでしたか?ぜひ感想を教えてくださいね。
それでは、また次回のエピソードでお会いしましょう。さようなら。
さようなら!