スクリプト
Chapter 1 オープニング
皆さんこんにちは、インディーゲーム開発者のためのポッドキャストへようこそ。今日は、業界調査から明らかになった「インディーゲーム成功の真実」についてお話しします。
タカシさん、こんにちは。インディーゲームって最近すごく盛り上がってますよね。Balatoとか、バンパイアサバイバーズとか。成功するの、意外と簡単なのかなって思っちゃいます。
うーん、実はそこが今日の核心なんですが...。正直に言うと、成功事例だけを見ていると、とても危険なんです。データを見ると、驚くべき現実が見えてきます。
えっ、危険ですか?ちょっと怖いですね。
今日は包み隠さず、リアルな数字をお伝えしますので、ぜひ最後まで聴いてください。これを知っているかどうかで、戦略が大きく変わってきますから。
Chapter 2 市場の成長と収益の現実
まず良いニュースから。グローバルゲーム市場は約1,880億ドル、日本円で約28兆円の規模があります。前年比プラス2パーセント程度で安定成長中です。
28兆円!すごい規模ですね。インディーゲームはその中でどれくらいなんですか?
実はここが面白いんですが、インディーゲーム市場は2025年で約48.5億ドル。2030年には95.5億ドルに成長すると予測されています。年平均成長率は14.5パーセント。
14.5パーセント!市場全体の2パーセントより全然高いですね!
そうなんです。さらにSteamの収益の48パーセント、つまり約半分がインディーゲームからなんです。チャンスは確実にあります。
じゃあ、やっぱりインディーゲーム開発、夢がありますね!
...と言いたいところなんですが、ここからが本題です。収益の分布を見ると、全く違う景色が見えてきます。
え、どういうことですか?
インディーゲームの生涯収益の中央値は、なんと約1,200ドルなんです。日本円で約18万円程度。
ちょっと待ってください。18万円って...何かの間違いじゃないですか?
残念ながら、これが現実です。80パーセントのゲームが5,000ドル未満の収益しか上げられない。そして上位0.5パーセントのタイトルが、市場全体の80パーセントの収益を獲得しているんです。
Chapter 3 初作品の壁
それは...かなり厳しいですね。初めてゲームを作る人は特に大変そう。
まさにその通りで、初作品の売上中央値は約2,000本なんです。10年前は2万本以上だったので、競争がかなり激化しています。
10分の1に減ってるんですか...。じゃあ、もうインディーゲームを作るのは無謀なんでしょうか?
いいえ、ここからが重要なんです。希望のあるデータもあります。2作目の平均収益は1作目より40パーセント増加。3作目はさらに24パーセント増加するんです。
経験を積むと売上が上がるってことですか?
その通りです。成功した開発者の平均リリース作品数は4から5本なんです。つまり、1作目で大当たりを狙うのではなく、3作品で軌道に乗せる計画が現実的なんですね。
でも、BalatoとかStardew Valleyって1作目で大成功してますよね?
はい、ただこれらは「ユニコーン」と呼ばれる極めて稀な例外なんです。初作品で1,000レビュー以上を獲得できる確率は、わずか3.3パーセントです。
3パーセント...。宝くじみたいですね。
だからこそ、成功事例だけを見て計画を立てるのは危険なんです。これを「生存者バイアス」と言います。失敗した人の声は聞こえてこないので、成功が簡単に見えてしまうんですね。
Chapter 4 開発費と成功の意外な関係
じゃあ、お金をかければ成功するっていうわけでもないんですか?
実は、驚くべきデータがあるんです。2024から2025年のトップセラーを分析したところ、開発費と成功には相関がないことがわかりました。
えっ、それは意外ですね。具体的にはどういうことですか?
例えば、バンパイアサバイバーズの開発費はなんと1,500ドル、約22万円です。それが1億ドル以上の収益を上げている。ROIは6万6千倍以上です。
22万円が...1億ドル以上に?信じられないですね。
Balatoもほぼ開発費ゼロで7,500万ドル以上。Lethal Companyも約1万ドルで1億ドルの収益です。
じゃあ、マーケティング費用も少なくて済むんですか?
ここも面白いんですが、2024から2025年のトップセラーの大半が、マーケティング費ゼロなんです。業界の推奨は開発費の25から50パーセントなんですが、実態とは大きく乖離しています。
マーケティング費ゼロで成功?どうやって広まったんですか?
答えは「ストリーマーフレンドリーなゲームデザイン」です。配信者が取り上げたくなるようなゲームメカニクスが、自然な口コミを生み出しているんですね。
Chapter 5 成功するゲームの共通パターン
じゃあ、成功するゲームには何か共通点があるんですか?
はい、いくつかの明確なパターンがあります。まず、コアゲームループが1分で面白いと感じられること。誰でもすぐに理解できる参入障壁の低さ。そして繰り返しプレイで新発見がある戦略的深さ。
コアゲームループって何ですか?
ゲームの基本的な遊びのサイクルのことです。例えばBalatoなら「カードを出す→役を作る→チップを稼ぐ」という流れ。これが1分以内に楽しいと思えることが重要です。
なるほど。価格設定はどうですか?
最も総収益が高いのは10ドルから19ドルの価格帯です。手頃で、かつ価値を感じられる絶妙なラインですね。あと、配信映えすること。これが今のマーケティングでは非常に重要です。
ジャンルで言うと、何がオススメですか?
ローグライク、ローグライトがインディーには最適です。手続き生成でコンテンツを効率的に作れて、毎回違う展開が配信向き。早期アクセスとも相性が良いんです。
Balato、Hades、バンパイアサバイバーズ...確かに全部ローグライクですね!
そして、もう一つ重要なのがジャンル融合です。ポーカーとローグライクを組み合わせたBalato。稲作シミュレーションとアクションRPGを組み合わせた天穂のサクナヒメ。独自の組み合わせが差別化の鍵なんです。
Chapter 6 失敗を避けるための知恵
逆に、失敗する原因で多いのは何ですか?
失敗理由の第1位は、マーケティング戦略の欠如です。「良いゲームを作れば売れる」という幻想を捨てる必要があります。開発初期からのマーケティング活動が必須なんです。
作るのに集中しちゃって、マーケティングは後回しになりがちですよね。
それから、85パーセントの開発者がセルフパブリッシュを選ぶんですが、パブリッシャー付きの方が平均6倍の販売本数なんです。初作品こそ外部サポートを検討する価値がありますね。
6倍は大きいですね。他に気をつけることは?
参入すべきでない領域も明確になっています。ブロックチェーンやNFTは投資が71パーセント減少。VR専用タイトルも市場縮小中で、2025年は42.8パーセント減です。大規模ライブサービスも運営コストが高すぎます。
流行りに乗れば良いってわけじゃないんですね。
その通りです。データに基づいて冷静に判断することが大切なんです。
Chapter 7 現実的な成功戦略
じゃあ、これからインディーゲームを作りたい人は、どうすればいいんでしょう?
まず、事業計画は中央値の1,200ドルで考えること。ヒット確率5パーセント未満を前提にリスク管理をすることです。平均ではなく中央値で計画を立てるのが重要です。
厳しい前提ですけど、現実的ですね。
次に、低予算MVP、5万ドル以下で市場検証をすること。高い開発費が成功を保証しないことはデータが証明しています。最小限の機能で反応を見て、そこから改善していくんです。
MVPって何ですか?
Minimum Viable Product、最小実行可能製品のことです。完璧を目指さず、まず核となる面白さだけを作って世に出す考え方ですね。
失敗を前提に3作品計画、っていうのも大事なんですね。
その通りです。成功するまで続ける体力、つまり資金とモチベーションを確保することが重要です。18ヶ月分のランウェイ確保を推奨します。
Chapter 8 クロージング
さて、今日のポイントをまとめましょう。インディーゲーム市場は成長中ですが、成功は一握り。80パーセントが5,000ドル未満の収益という現実があります。
でも、開発費と成功に相関がないというのは、逆に希望ですよね。低予算でも勝てる。
その通りです。1分で楽しいコアループ、配信映えするデザイン、独自のジャンル融合。これらが成功の鍵です。マーケティングは開発と同時に始めること。
1作目で当てるより、3作品で軌道に乗せる計画が現実的というのも心に留めておきます。
リスナーの皆さん、成功事例だけを見るのではなく、今日お話ししたデータを踏まえて、現実的な計画を立ててください。継続することが成功への最短距離です。
今日は厳しい現実もありましたけど、逆に何をすべきかがクリアになりました。リスナーの皆さんはどう感じましたか?ぜひ感想を聞かせてくださいね。
それでは、また次回のエピソードでお会いしましょう。さようなら。
さようなら!