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Episode 30

インディーゲーム開発コスト完全ガイド:ジャンル別予算の真実

14分 9チャプター 日本語
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スクリプト

Chapter 1

オープニング

タカシ

皆さんこんにちは、ゲーム開発者のためのポッドキャストへようこそ。今日は、インディーゲーム開発者なら誰もが気になる「開発コスト」についてお話しします。

ミカ

タカシさん、こんにちは。開発コストって、正直どれくらいかかるのか全然わからないですよね。ネットで調べても情報がバラバラで。

タカシ

実は、ここが今日の核心なんですが、ジャンルによって開発コストは驚くほど違うんです。なんと1500ドルから数百万ドルまで、文字通り1000倍以上の差があります。

ミカ

えっ、1000倍ですか?それは知りませんでした。どうしてそんなに差があるんでしょう?

タカシ

今日は具体的な数字と成功事例を交えながら、ジャンル別の開発コストを徹底的に解説していきます。自分に合った予算規模を見つけるヒントになるはずです。

Chapter 2

開発コストの全体像

タカシ

まず、インディーゲーム開発のコスト全体像を見てみましょう。スケール別に4つのカテゴリに分けることができます。

ミカ

4つのカテゴリ、気になります。教えてください。

タカシ

最小規模のソロ開発が1500ドルから5万ドル、小規模チームが5万から25万ドル、中規模チームが25万から50万ドル、大規模インディーが50万から75万ドル以上です。

ミカ

日本円だと、最小規模が20万円から800万円くらいってことですね。結構幅がありますね。

タカシ

そうなんです。そしてここが重要なんですが、開発コストの最大の要素は人件費で、全体の60から70パーセントを占めます。

ミカ

6割以上が人件費なんですか。じゃあ、1人で開発すれば相当コストを抑えられるってことですね。

タカシ

その通りです。ただし、1人開発には時間がかかるというトレードオフがあります。Stardew Valleyは1人で4年から5年かかりました。

Chapter 3

最もコスパの良いジャンル:異変探し/ショートホラー

タカシ

さて、ここからがジャンル別の本題です。まず、最もコストパフォーマンスが高いジャンルからいきましょう。それは「異変探し」または「ショートホラー」です。

ミカ

異変探しって、8番出口みたいなゲームですよね?

タカシ

まさにそうです。そして驚くべきことに、8番出口の開発費はたった1500ドル程度、日本円で20万円くらいなんです。

ミカ

20万円!?パソコン1台買うくらいの値段じゃないですか。それで売上はどうだったんですか?

タカシ

230万本以上売れています。470円かける230万本で、売上は10億円以上。投資対効果で言えば、これ以上の成功例はなかなかないでしょう。

ミカ

20万円の投資で10億円以上。ROIが半端ないですね。どうしてそんなに低コストで作れたんでしょう?

タカシ

ポイントは3つあります。まず「進むか戻るか」のシンプルな仕組みで工数を削減。次に地下通路という限定空間で3Dアセット数を最小化。そして異変ベースのゲームデザインでシナリオ分岐が不要だったんです。

ミカ

なるほど、制約を逆手に取った設計なんですね。開発者はどんな人だったんですか?

タカシ

元3Dアーティストで、ゲーム会社に4年間勤務した経験があります。開発期間は計画6ヶ月、実作業3ヶ月で合計9ヶ月でした。エンジンはUnreal Engine 5です。

Chapter 4

低予算の星:ローグライク/ローグライト

タカシ

次に紹介したいのが、ローグライクとローグライトです。このジャンルもコストパフォーマンスが非常に高いんです。

ミカ

Vampire Survivorsとかが有名ですよね。あれもすごく流行りました。

タカシ

そう、Vampire Survivorsは実は同じく1500ドルで開発されました。そして初月で700万ドル、約10億円の収益を上げています。

ミカ

また1500ドル!8番出口と同じ予算なんですね。どうしてローグライクは低予算で成功しやすいんでしょう?

タカシ

理由は明確です。ローグライクはグラフィックよりゲームプレイ重視なので、豪華なグラフィックが必要ありません。さらにプロシージャル生成でコンテンツ量を自動的に確保できます。

ミカ

プロシージャル生成って、ランダムにマップとかが生成される仕組みですよね?

タカシ

その通りです。手作りのコンテンツは時間とお金がかかりますが、プロシージャル生成なら一度仕組みを作れば無限にコンテンツを提供できます。リプレイ性も高くなりますしね。

ミカ

でも、Hadesとかは結構お金かかってそうですよね?

タカシ

いい指摘ですね。Hadesは20人以上のチームで3年かけて開発されており、数百万ドル規模の予算です。つまり、同じジャンルでも1500ドルから数百万ドルまで幅があるんです。

Chapter 5

中規模予算のジャンル:2Dプラットフォーマーとメトロイドヴァニア

タカシ

次は中規模予算のジャンルを見てみましょう。2Dプラットフォーマーは4万から10万ドル、メトロイドヴァニアは5万から15万ドル程度が目安です。

ミカ

Celesteとか、Hollow Knightがこのジャンルですよね。実際どれくらいの予算だったんですか?

タカシ

Celesteは4万から5万ドルで、3人チームが2年半かけて開発しました。ゲームオブザイヤーを受賞するほど高い評価を得ています。

ミカ

5万ドルでゲームオブザイヤー。すごいですね。Hollow Knightは?

タカシ

Hollow KnightはKickstarterで調達した5万7000ドルから10万ドル程度の予算でした。オーストラリアの小さなチーム、Team Cherryが開発し、数百万本を売り上げています。

ミカ

ピクセルアートのゲームって、なんとなく低コストなイメージがあるんですが、実際どうなんですか?

タカシ

良い視点ですね。ピクセルアートは確かに制作コストが相対的に低いです。しかも、ノスタルジーとしてポジティブに評価されることが多い。コスト効率化の有効な手段の一つです。

Chapter 6

注意が必要なジャンル:シミュレーションと3Dアドベンチャー

タカシ

ここからは注意が必要なジャンルの話をしましょう。シミュレーション系と3Dアドベンチャーは、予算と時間のリスクが高いんです。

ミカ

Stardew Valleyが有名ですけど、あれも大変だったんですか?

タカシ

Stardew Valleyは予算3万ドル未満で、収益は5000万ドル以上、売上3000万本以上という驚異的な成功を収めています。しかし、開発には1人で4年から5年かかっています。

ミカ

1人で5年...それは相当なリスクですよね。その間、どうやって生活するんでしょう。

タカシ

まさにそこが問題です。生活費の確保が最大の課題で、Stardew Valley型の成功は再現が非常に困難とされています。これを目指すなら、相当な覚悟が必要です。

ミカ

3Dアドベンチャーはどうですか?

タカシ

3Dアドベンチャーは最低でも10万ドルから25万ドル、日本円で1500万から4000万円程度が必要です。チームも5人から8人規模で、1年半から2年かかります。

ミカ

インディーとしてはかなり大きな投資ですね。3Dは何がそんなにコストかかるんですか?

タカシ

3Dアセットの制作、アニメーション、ライティング、最適化など、2Dに比べて工程が多いんです。プログラマーも3Dアーティストもそれぞれ2人から3人必要になってきます。

Chapter 7

コスト削減の実践テクニック

タカシ

さて、ここからは実践的なコスト削減テクニックをお伝えしましょう。いくつかの方法で大幅にコストを抑えることができます。

ミカ

ぜひ教えてください。予算が限られている人は多いと思うので。

タカシ

まず一つ目、リモートワークの活用です。オフィス関連コストを40から60パーセント削減できます。インディーなら自宅開発で十分ですよね。

ミカ

確かに、オフィスを借りる必要ないですよね。他には?

タカシ

二つ目は無料ツールの活用です。Godot、Blender、GIMP、Audacity、Trello、GitHub。これらを使えばソフトウェアコストをほぼゼロにできます。

ミカ

全部無料なんですか?Blenderって3Dソフトですよね、すごいですね。

タカシ

はい、すべてオープンソースか無料プランがあります。三つ目はアセットストアの活用。Unity Asset Store、Unreal Marketplace、itch.ioなどで既存のアセットを購入すれば、一から作る必要がありません。

ミカ

なるほど、全部自分で作らなくてもいいんですね。

タカシ

最後に、クラウドサービスの活用で物理インフラのニーズを30パーセント削減できます。高価なサーバーを買う必要はありません。

Chapter 8

日本での開発コスト

ミカ

今までドル建ての話が多かったですが、日本で開発する場合の具体的な予算ってどうなりますか?

タカシ

良い質問ですね。日本でソロ開発者が1年で最小限の開発をする場合、目安は約430万円です。内訳を見てみましょう。

ミカ

430万円、詳しく聞きたいです。

タカシ

生活費が月30万円で年間360万円、PC・機材に20万円、ソフトウェアに5万円、アセット購入5万円、外注の音楽等に10万円、マーケティング10万円、予備費20万円です。

ミカ

生活費が一番大きいんですね。貯金がないと厳しそう。

タカシ

その通りです。3人チームで18ヶ月開発する場合は約3900万円かかります。人件費だけで2700万円、オフィス270万円、機材150万円、マーケティング300万円といった内訳です。

ミカ

チームになると一気に跳ね上がりますね。会社を作る費用もかかりますよね?

タカシ

はい。株式会社なら25万から30万円、合同会社なら10万から15万円、個人事業主なら届出だけで0円です。最初は個人事業主から始めて、売上が出てから法人化するのも選択肢ですね。

Chapter 9

クロージング:どのジャンルを選ぶべきか

タカシ

さて、今日のポイントをまとめましょう。コスト効率の観点から、どのジャンルがおすすめなのか。

ミカ

ランキング形式で教えてもらえると嬉しいです。

タカシ

1位は異変探しやショートホラー。1500ドルで200万本の実績があり、限定空間でアセットを削減できます。2位はローグライクで、ゲームプレイ重視のプロシージャル生成で工数削減可能です。

ミカ

やっぱり8番出口とVampire Survivorsの系統が強いんですね。3位と4位は?

タカシ

3位は2Dプラットフォーマー。ピクセルアートで低コスト、CelesteやHollow Knightの実績があります。4位はビジュアルノベルで、アセット数が限定的でシナリオ重視です。

ミカ

結局、予算に合わせてジャンルを選ぶのが大事ってことですね。

タカシ

その通りです。最小予算で最大効果を狙うなら8番出口モデル。ただし、作りたいゲームを作るのが一番大切なので、予算と情熱のバランスを見つけてください。

ミカ

今日は開発コストについて、本当に具体的な数字がたくさん出てきて勉強になりました。リスナーの皆さんも、自分の予算でどんなゲームが作れるか考えてみてくださいね。

タカシ

それでは、また次回のエピソードでお会いしましょう。さようなら。

ミカ

さようなら!