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Episode 28

ゲーム市場データの真実:13種類のデータソース信頼性ランキング完全ガイド

12分 8チャプター 日本語
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スクリプト

Chapter 1

オープニング

タカシ

皆さんこんにちは、ゲーム開発者のためのリサーチポッドキャストへようこそ。今日は、ゲーム市場調査に使うデータソースの信頼性について徹底解説します。

ミカ

タカシさん、こんにちは。データソースって、正直どれを信じていいのかわからないんですよね。いろんなサイトで数字が違ってたりして。

タカシ

そうなんです。ここが今日のポイントなんですが、実は13種類の主要データソースを評価したところ、Aランクは4つしかなかったんです。残りは使い方次第で危険なこともあります。

ミカ

えっ、4つだけですか?じゃあ、みんながよく使ってるデータソースでも、信用できないものがあるってことですね。

タカシ

その通りです。今日は各データソースの強みと弱み、そして用途別の正しい使い分けを解説していきましょう。

Chapter 2

市場規模データのAランクソース

タカシ

まず、市場規模データから見ていきましょう。この分野の業界標準は、NewzooとSensor Towerです。

ミカ

Newzooって名前は聞いたことあります。どれくらい信頼できるんですか?

タカシ

Newzooは大手ゲーム会社25社のうち過半数が利用していて、100万人以上のパネル調査データと機械学習を組み合わせた方法論を使っています。

ミカ

100万人のパネルですか。それはかなり大規模ですね。

タカシ

ただし注意点があって、ハードウェア売上は含まれず、Steam Deckは携帯機ではなくPCに分類されています。投資家向けプレゼンには最適ですが、完全版は高額です。

ミカ

Sensor Towerはどうですか?モバイル系でよく見かけますけど。

タカシ

Sensor Towerはモバイル業界の標準で、リアルタイムから日次更新でApp StoreとGoogle Playをカバーしています。2025年にVG Insightsを買収してPCにも拡大しました。

ミカ

じゃあ、モバイルならSensor Tower一択ですか?

タカシ

ここが面白いんですが、Sensor Tower自身が「数値の絶対値は体系的に間違っている」と認めています。でも、トレンド分析には有効なんです。年間2万5000ドルから4万ドルと高額ですけどね。

Chapter 3

Steam関連データの真実

タカシ

次に、Steam関連のデータソースを見ていきましょう。インディー開発者にとって最も身近な分野ですね。

ミカ

SteamDBとSteamSpyはよく見るんですけど、違いがあるんですか?

タカシ

実は全然違います。SteamDBはAランクで、Steam公式APIから直接データを取得しているので、プレイヤー数は完全に正確なんです。しかも無料です。

ミカ

へえ、公式データなんですね。じゃあSteamSpyは?

タカシ

SteamSpyはBランクで、公開プロフィールをサンプリングして統計的に推定しています。ここで重要なのは、3万本以下の販売は「完全に不正確」という点です。

ミカ

3万本以下が不正確?インディーゲームのほとんどがそれ以下じゃないですか。

タカシ

その通りです。さらに、2018年のSteamプライバシー変更後は精度が低下していて、5倍も異なる外れ値があると報告されています。

ミカ

じゃあ、売上を推定したい時は何を使えばいいんですか?

タカシ

VG InsightsとGamalyticをクロスチェックで使うのがお勧めです。どちらもBoxleiter法をベースにしていて、VG Insightsは基本機能が無料、Gamalyticは月25ドルからAPIも使えます。

Chapter 4

Boxleiter法とは何か

ミカ

ちょっと待ってください。Boxleiter法って何ですか?

タカシ

いい質問ですね。Boxleiter法は、Steamのレビュー数に一定の倍率をかけて売上を推定する方法です。例えばレビュー1000件なら、30倍で3万本という計算になります。

ミカ

なるほど、シンプルですね。でも、その倍率ってどうやって決まるんですか?

タカシ

ここが注意点なんですが、倍率は年代で大きく変わります。2020年は30倍ですが、2014年以前は70倍以上だったんです。VG Insightsはこの変動を考慮した発展版を使っています。

ミカ

じゃあ、古いゲームの売上を最近の倍率で計算すると、全然違う数字になっちゃうわけですね。

タカシ

その通りです。Gamalyticは自己申告によると、77%のゲームで30%誤差内、98%が50%誤差内と報告しています。参考値としては十分ですね。

Chapter 5

業界レポートと開発者調査

タカシ

次に、業界レポートについて見ていきましょう。GDC State of the Game Industry Surveyは、開発者動向を知るための最良のソースです。

ミカ

GDCのレポートですね。どれくらいの規模なんですか?

タカシ

86カ国から3000人以上の開発者が回答していて、13年以上継続しています。誤差は±2%と報告されていますが、大きなバイアスがあります。

ミカ

バイアスってなんですか?

タカシ

回答者の58%がアメリカ人なんです。英語圏中心で、日本やアジアの開発者の声はほとんど反映されていません。西洋偏重のデータという認識が必要です。

ミカ

なるほど。じゃあ、日本のインディー開発者が参考にする時は、その点を考慮しないといけないですね。

タカシ

そうです。IGDA Developer Satisfaction Surveyも同様で、北米とヨーロッパ中心です。しかも最近はサンプルサイズが2928人から777人に縮小していて、信頼性が低下しています。

Chapter 6

インディー開発者向け分析ソース

ミカ

インディー開発者として、実践的なアドバイスが欲しい時はどこを見ればいいんですか?

タカシ

2つのB+ランクソースをお勧めします。Chris ZukowskiのHow To Market A Gameと、Simon CarlessのGameDiscoverCoです。

ミカ

Chris Zukowskiって、Steam最適化の記事をよく書いてる人ですよね。

タカシ

そうです。VG Insightsのデータを元に独自分析していて、1000レビュー到達を「成功」のベンチマークにしています。ブログは無料で読めるので、インディー開発者の必読です。

ミカ

GameDiscoverCoはどうですか?

タカシ

Simon Carlessは25年の業界経験があり、21000以上の未リリースタイトルをHype指標でランキングしています。週2回の無料ニュースレターがあり、70社以上がPro版を利用しています。

ミカ

すごい数をトラッキングしてるんですね。予測の精度はどうなんですか?

タカシ

面白いことに、本人が「商業アートの予測は100%不可能」と明言しています。正直で好感が持てますね。あくまで意思決定の参考として使うべきです。

Chapter 7

要注意のCランクソース

タカシ

さて、ここからは注意が必要なソースについてお話しします。特にStatisticaには気をつけてください。

ミカ

Statistaってすごく有名じゃないですか。プレゼンでよく使われてますよね。

タカシ

そこが落とし穴なんです。Statista自身が「情報の完全性・正確性は保証しない」と免責しています。ゲーム専門ではなく、全業界を横断的にカバーしているので、専門性が低いんです。

ミカ

じゃあ、Statistaのデータを一次ソースとして引用するのはまずいですか?

タカシ

その通りです。ユーザーレビューでも「トピックにより品質にばらつき」という指摘があります。概況把握には使えますが、専門的な分析には向きません。

ミカ

知らなかったです。他にも気をつけるべきことはありますか?

タカシ

よくある落とし穴として、SteamSpyの小規模ゲームデータを信用しすぎること、無料週末後の「所有者」数を売上と誤認すること、推定データの誤差マージンを無視することがあります。

Chapter 8

クロージング

タカシ

さて、今日のポイントをまとめましょう。データソースは用途に応じて使い分け、必ず複数ソースでクロスチェックすることが大切です。

ミカ

市場規模ならNewzoo、Steamのプレイヤー数ならSteamDB、売上推定ならVG InsightsとGamalyticのクロスチェック、ということですね。

タカシ

その通りです。そして、絶対値よりもトレンドに注目すること。多くの推定ソースは「一貫した方法論」なので、比較や変化率を見るのに向いています。

ミカ

あと、インディー開発者向けにはChris ZukowskiとGameDiscoverCoが無料で使えるのは嬉しいですね。

タカシ

はい。データに振り回されるのではなく、データの限界を理解した上で意思決定に活用する。それが今日一番お伝えしたかったことです。

ミカ

今日はデータソースの信頼性について、とても勉強になりました。リスナーの皆さんも、次に市場調査をする時は今日の内容を思い出してくださいね。

タカシ

それでは、また次回のエピソードでお会いしましょう。さようなら。

ミカ

さようなら!