スクリプト
Chapter 1 オープニング
皆さんこんにちは、ゲーム開発者のためのビジネスポッドキャストへようこそ。今日は、ゲームをリリースする時に避けては通れない、レーティング制度について詳しく解説します。
タカシさん、こんにちは。レーティングって、CERO AとかCERO Zとかのあれですよね?ゲームを買う時によく見ますけど、あまり詳しく知らないんです。
そうですね。実は、このレーティング、インディー開発者にとっては大きなハードルになることがあるんです。物理版を出す場合、なんと1万ドル以上かかることもあるんですよ。
えっ、1万ドル?日本円で150万円くらいですよね。そんなにかかるんですか?
でも安心してください。今日の話を聞けば、費用ゼロで世界中に配信する方法もわかります。賢い戦略を立てれば、コストを最小限に抑えられるんです。
Chapter 2 IARCという救世主
まず、インディー開発者にとって最も重要なシステムからお話ししましょう。それが、IARCです。
アイ・エー・アール・シー?初めて聞きました。何の略ですか?
International Age Rating Coalition、国際年齢レーティング連合ですね。2013年に設立されました。これがすごいのは、1つのアンケートに答えるだけで、世界中のレーティングが即時に取得できるんです。
1つのアンケートで全部?しかも即時って、申請して何週間も待つ必要がないってことですか?
その通りです。しかも、完全に無料なんです。Google Play、Nintendo eShop、PlayStation Store、Xbox Store、Epic Games Store、全部IARCに対応しています。
無料で即時!それは神システムですね。でも、Steamはどうなんですか?
いい質問です。SteamはIARCに参加していないんですが、独自のContent Surveyという仕組みがあります。これも無料で、アンケートに答えるだけでレーティングが付きます。
じゃあ、デジタル配信だけなら、レーティング費用はゼロってことですか?
その通りです。デジタルのみでグローバル配信するなら、費用はゼロ円です。これがインディーにとって最も重要なポイントですね。
Chapter 3 物理版の壁:各国レーティング費用
さて、ここからが問題です。物理版、つまりパッケージ版を出したい場合は、IARCは使えません。各国の審査機関に個別に申請する必要があります。
えー、それは大変そうですね。具体的にどれくらいかかるんですか?
北米のESRBから見ていきましょう。開発予算が100万ドル未満のインディーなら、3000ドルで審査を受けられます。審査期間は2から4週間です。
3000ドルは約45万円ですね。それで北米市場全体をカバーできるなら、まあ許容範囲でしょうか。
問題は欧州のPEGIです。こちらは初回審査で最大2100ユーロ、しかも追加プラットフォームごとに1050ユーロかかります。
ちょっと待ってください。追加プラットフォームごと?Switch版とPS版で別々にお金がかかるってことですか?
そうなんです。3プラットフォームで出すと、4200ユーロ以上、日本円で70万円近くになることもあります。ESRBは追加プラットフォーム無料なのに、大きな違いですよね。
欧州は厳しいですね。日本のCEROはどうですか?
CEROは非会員だと1プラットフォームあたり20万円かかります。3プラットフォームなら60万円近くになる可能性があります。しかも審査期間が約2ヶ月と長いんです。
2ヶ月も!リリーススケジュールに影響しそうですね。
Chapter 4 最もコスパの悪い市場
ここで興味深いデータをお見せしましょう。オーストラリアのACBは、審査費用が最大2460豪ドル、約25万円かかります。
オーストラリアって、人口は日本の5分の1くらいですよね?それで25万円は高くないですか?
その通りです。あるパブリッシャーは「人口2300万人の市場に890から1210豪ドル払うのは、人口10億人の米国が無料なのと比べて割に合わない」と嘆いています。
なるほど、費用対効果の問題ですね。じゃあ、オーストラリアはデジタルだけにして、物理版はスキップした方がいいってことですか?
多くの中小パブリッシャーがその戦略を取っています。ドイツも同様で、USKの費用回収が見込めないとして、多くのパブリッシャーがドイツ市場をスキップしているんです。
へえ、市場を選ぶという発想が大事なんですね。
Chapter 5 CEROの特殊性と厳格さ
日本のCEROについて、もう少し詳しくお話しましょう。実は、CEROは世界でも特に厳格な審査機関の一つなんです。
厳格というと、どういうことですか?
例えば、2023年のDead Spaceリメイクや、Callisto Protocolは、CEROの基準をクリアできず日本では発売されませんでした。CERO Zでも海外版より規制が強いケースがあるんです。
CERO Zでも厳しいんですか?18歳以上向けなのに。
審査プロセスも独特で、開発者が最も過激なコンテンツを含むゲームプレイ動画を作成し、ゲーム業界と無関係の5名のレーターが30種類の基準で評価します。
ゲーム業界と無関係の人が審査するんですね。それは興味深い仕組みですね。
あと、Xboxには日本固有のルールがあって、CERO ZまたはIARC 18プラスの無料製品、ベータやデモも含めて、日本のXboxストアではリリースできないんです。
デモすらダメなんですか。それは厳しいですね。
Chapter 6 よくある修正要求とその対策
さて、レーティング審査でよくある修正要求についてもお話ししておきましょう。これを事前に知っておけば、開発段階から対策できます。
どんな修正を求められることが多いんですか?
最も多いのは血の表現ですね。赤い血を緑や青に変えたり、量を減らしたりすることで、ESRBならMからTに、CEROならZからDに下げられることがあります。
血の色を変えるだけでレーティングが下がるんですか。それは意外と簡単な対策ですね。
他にも、性的表現の軽減、具体的な薬物名の削除、暴力描写では死体の即消失や切断表現の削除などが求められます。特にCEROは暴力描写に厳格です。
グローバル版と日本版で別のビルドを用意するゲームがあるのは、そういう理由なんですね。
そうですね。あと注意が必要なのはギャンブル要素です。リアルマネーに関連する表現は、PEGI、USK、ACBで特に厳しく見られます。
Chapter 7 インディー向け推奨戦略
ここまで聞くと、物理版を出すのは大変そうですね。インディー開発者はどうすればいいんでしょう?
私のお勧めは、デジタルファースト戦略です。まずはIARCとSteam Content Surveyを使って、費用ゼロでグローバル配信します。
物理版は後回しってことですか?
その通りです。売上実績を見てから検討すればいいんです。物理版を出すなら、まずは北米から。3000ドルで最大市場にアクセスできます。
欧州のPEGIは費用対効果を見て判断、日本は会員になるかパブリッシャー経由でコスト軽減を検討、ってことですね。
まさにその通りです。予算で言うと、デジタルのみならゼロ円。北米フィジカルを追加すると約45万円。全市場フィジカルだと180万円以上になります。
ゼロ円から180万円まで、戦略次第でこんなに変わるんですね。
Chapter 8 クロージング
さて、今日のポイントをまとめましょう。レーティング制度は複雑ですが、賢く使えばコストを最小限に抑えられます。
デジタル配信ならIARCとSteamで無料。物理版は市場を選んで、優先順位をつけるってことですね。
そうです。そして、CEROの厳格さや各国の規制を事前に理解しておけば、開発段階から対策できます。後から修正するより、最初から意識しておく方がずっと効率的です。
血の色を変えるだけでレーティングが下がるなんて、知っておくと便利ですよね。
はい。レーティングは面倒に思えるかもしれませんが、プレイヤーに正しい情報を提供するための大切なシステムです。上手に活用して、世界中のプレイヤーにゲームを届けてください。
今日はレーティング制度について、とても勉強になりました。リスナーの皆さん、ぜひ参考にしてくださいね。
それでは、また次回のエピソードでお会いしましょう。さようなら。
さようなら!