スクリプト
Chapter 1 オープニング
皆さんこんにちは、ゲーム開発者のためのマーケティングポッドキャストへようこそ。今日は、多くのインディー開発者がまだ見落としている、2つの急成長市場についてお話しします。
タカシさん、こんにちは。急成長市場って、中国のことですか?
実は今日は中国ではなく、東南アジアと中東・北アフリカ、いわゆるMENA市場についてです。この2つの地域、合わせると年間成長率がなんと6%から9%を超えているんです。
へえ〜、中国以外にもそんなに伸びている市場があるんですね。
さらに面白いのは、この2つの市場はインディー開発者にとって参入障壁が比較的低いんです。規制も中国ほど厳しくない。今日はその攻略法をお伝えします。
Chapter 2 東南アジア市場の魅力:CPI0.10ドルのインドネシア
まず東南アジア市場から見ていきましょう。2024年の市場規模は約54億から62億ドル。2029年には3億2400万人のゲーマーを抱える巨大市場になると予測されています。
3億人以上!それはすごい数ですね。でも、東南アジアってどの国が重要なんですか?
ここが面白いんですが、インディー開発者にとって特に注目すべきはインドネシアです。なぜかというと、CPIが驚くべき0.10ドル以下なんです。
CPIって何ですか?0.10ドルって安いんですか?
CPIはCost Per Installの略で、1人のユーザーを獲得するのにかかるコストです。アメリカや日本だと2ドルから5ドルかかるのに対して、インドネシアは0.10ドル。なんと20分の1以下なんですよ。
20分の1!それは驚きですね。じゃあ、少ない予算でもたくさんユーザーを集められるってことですか?
その通りです。インドネシアは2025年第1四半期だけで8億7000万ダウンロードを記録しています。バイラル性のテストや成長曲線の検証に最適な市場なんです。
Chapter 3 東南アジアの収益化:タイが鍵
でもタカシさん、安くユーザーを集められても、お金を払ってくれなかったら意味ないですよね?
鋭い質問ですね。実はインドネシアはARPU、つまりユーザー当たり収益は低いんです。そこで重要になるのがタイ市場です。
タイですか?なぜタイなんでしょう?
タイは東南アジアで最高のIAP収益を記録していて、2025年第1四半期だけで1億6200万ドル。決済インフラも成熟していて、なんと人口の92%がデジタル決済を利用しています。
92%!日本より高いかもしれませんね。
そうなんです。だから戦略としては、まずインドネシアで低コストでユーザーを獲得してゲームの人気度を検証し、その後タイ市場で本格的に収益化するという2段階アプローチが効果的です。
Chapter 4 東南アジアのローカライズ:87%が必要と回答
東南アジアって、英語が通じるイメージがあるんですけど、ローカライズは必要なんですか?
意外なことに、調査によると東南アジアゲーマーの87%が何らかのローカライズを望んでいます。特にタイとベトナムでは91%以上がローカライズを重視すると回答しているんです。
91%!それは高いですね。シンガポールやマレーシアはどうなんですか?
シンガポール、マレーシア、フィリピンは英語圏なので、英語版でカバー可能です。でも、インドネシア、タイ、ベトナムに本気で参入するなら現地語は必須ですね。
なるほど。優先順位をつけるとしたら?
収益化を考えるならタイ語が最優先、ユーザー数を重視するならインドネシア語です。ベトナム語は成長市場として次に検討すべきでしょう。
Chapter 5 MENA市場:世界最高ARPPUの衝撃
さて、ここからはもう一つの成長市場、中東・北アフリカ、MENAについてお話しします。
MENAって、なんとなく中東のイメージはありますけど、ゲーム市場としてはあまり聞かないですね。
ここが面白いんですが、MENAは世界最速成長のゲーム市場なんです。年間成長率9.4%から12.9%。2029年には220億ドル規模になると予測されています。
220億ドル!それは確かに大きいですね。どの国が重要なんですか?
特に注目すべきはサウジアラビア、UAE、エジプトの3カ国です。そして驚くべきことに、サウジアラビアのARPPU、つまり課金ユーザー当たり収益は270ドル。これは世界最高です。
270ドル!日本や中国より高いんですか?
その通りです。サウジアラビアには「ホエール」と呼ばれる月1000ドル以上課金するユーザーが非常に多いんです。適切なローカライズと決済対応をすれば、プレミアム収益化が可能です。
Chapter 6 サウジアラビアの国家戦略:Vision 2030
なぜサウジアラビアでそんなにゲームが盛んなんですか?
実はサウジアラビア政府が「Vision 2030」という国家戦略でゲーム産業に380億ドルもの投資を行っているんです。
380億ドル!国が本気でゲームに投資しているんですね。
はい。2025年には「Savvy Games Group」が約15件のパートナーシップを締結し、なんとNianticを35億ドルで買収しています。eスポーツワールドカップの賞金プールは7000万ドルで世界最大です。
Nianticって、ポケモンGOの会社ですよね?それを買収したんですか。
そうです。2030年までにゲーム・eスポーツセクターでGDPに133億ドル貢献、雇用3万9000人創出を目標にしています。まさに国を挙げてのゲーム産業育成なんです。
Chapter 7 MENA参入の注意点:文化的配慮
MENAに参入する場合、何か気をつけることはありますか?
これは非常に重要なポイントです。MENAでは文化的・宗教的配慮が必須です。まず、アラビア語ローカライズについて言うと、現地アプリストアでアラビア語対応しているのはわずか1%なんです。
1%しかないんですか?逆にチャンスということですか?
その通りです。ただし、アラビア語は右から左に書くRTL言語なので、UI全体の再設計が必要な場合があります。技術的なハードルは少し高いですね。
文化的な配慮というのは具体的にどんなことですか?
まず絶対に避けるべきは、宗教的シンボルや聖典の不適切な扱い、アルコールやギャンブルの描写、そしてアラブ人をテロリストとして描くようなステレオタイプです。
過去に問題になった事例とかあるんですか?
あります。Call of Duty Vanguardは2021年にコーランが血で汚れる描写でボイコット運動が起きました。逆にAssassin's Creed Mirageは開発初期から文化コンサルタントを起用し、高い評価を得ています。
Chapter 8 参入戦略のまとめ
最後に、インディー開発者が実際に参入する場合のおすすめ戦略を教えてください。
東南アジアとMENA、それぞれ違うアプローチが必要です。まず東南アジアは、インドネシアで低コストでユーザー獲得してテスト、その後タイで収益化という2段階戦略がおすすめです。
MENAはどうですか?
MENAは市場ごとに戦略を分けます。UAEはプレミアム価格で10ドルから20ドル帯、サウジアラビアはIAP重視で高額課金者を狙う、エジプトは低価格でボリュームを取る。
決済面で気をつけることはありますか?
両地域ともクレジットカード普及率が低いので、デジタルウォレット対応が必須です。東南アジアではGoPay、タイではTrueMoneyが主流。MENAではモバイルウォレットやプリペイドカード対応が重要です。
Chapter 9 クロージング
さて、今日のポイントをまとめましょう。東南アジアはCPI0.10ドルのインドネシアでテスト、高ARPU のタイで収益化。MENAは世界最高ARPPU270ドルのサウジアラビアが狙い目です。
どちらもローカライズと文化的配慮が鍵ということですね。
その通りです。中国市場が注目されがちですが、東南アジアとMENAは規制が比較的緩く、参入障壁も低い。インディー開発者にとっては実は狙い目の市場なんです。
今日は新興市場について、とても勉強になりました。リスナーの皆さんはどの市場に興味がありますか?ぜひ感想を教えてくださいね。
それでは、また次回のエピソードでお会いしましょう。さようなら。
さようなら!