スクリプト
Chapter 1 オープニング
皆さんこんにちは、ゲーム開発者のためのポッドキャストへようこそ。今日は、Web3ゲーミング、つまりブロックチェーンやNFTを活用したゲームの現状について、データに基づいてお話しします。
タカシさん、こんにちは。Web3ゲームって、一時期すごく話題になりましたよね。今はどうなっているんですか?
実は、ここがポイントなんですが、Web3ゲームのなんと93パーセントが1年以内に終了しているんです。
えっ、93パーセント!それはほとんど全滅じゃないですか。
そうなんです。ChainPlayの2024年調査によるデータです。さらにトークンを発行したプロジェクトの90パーセント以上が、価値を維持できていないんですよ。
Chapter 2 2025年の衝撃的なプロジェクト終了例
では、具体的にどんなプロジェクトが終了したか見ていきましょう。2025年は衝撃的な終了が相次ぎました。
大きなプロジェクトも終わってしまったんですか?
驚くべきことに、Ember Swordというプロジェクトは2億ドル以上、日本円で約300億円を調達しながら、資金枯渇で開発中止になりました。
300億円調達して中止?一体何があったんでしょう。
他にも、Nyan Heroesは1,300万ドル調達後にトークンが98.5パーセント暴落、Blast Royaleは500万ドル調達後に99パーセント下落と、悲惨な例が続いています。
99パーセント下落って、ほぼゼロですよね。投資した人は大変だ。
そうなんです。ここには共通の失敗パターンがあるんですよ。
Chapter 3 なぜ93%が失敗するのか
共通の失敗パターンってどんなものなんですか?
まず1つ目が、過剰資金調達の罠です。プレイアブルなビルドが完成する前に大規模な資金を調達して、トークンやNFTのマーケティングにお金を使い切ってしまうんです。
ゲームを作る前にマーケティングにお金を使っちゃうんですか?それは本末転倒ですね。
まさにその通りです。「ゲームが完成する前にお金を使い切る」という表現がぴったりです。ゲームループの検証もなしにバーンレートが上がっていく。
バーンレートって何ですか?
月あたりの資金消費速度のことです。スタートアップでよく使う用語ですね。毎月どれだけお金が減っていくか、という指標です。
なるほど。他にも失敗パターンはあるんですか?
2つ目はトークノミクスの破綻です。Play-to-Earn、つまり「遊んで稼ぐ」モデルでは、報酬としてトークンを配り続けるとインフレが起きて、経済が崩壊してしまうんです。
永遠に配り続けることはできないですもんね。
そして3つ目が、「真の所有権」の幻想です。NFTで「あなたはこのアイテムを所有している」と言われても、ゲーム自体が終了すれば価値はゼロになります。
確かに。ゲームがなくなったらNFTだけ持っていても意味ないですよね。
Chapter 4 それでも生き残っているタイトル
じゃあ、全部失敗してるわけではないんですよね?生き残っているゲームはあるんですか?
はい、数は少ないですがあります。代表的なのがAxie Infinityです。2025年末時点で1日約8万8000人のアクティブユーザーがいて、累計売上は43億ドル、約6,500億円に達しています。
6,500億円!それはすごい数字ですね。何が違うんでしょう?
生き残っているタイトルに共通するのは、ゲームとしての面白さがベースにあることです。ブロックチェーン要素は追加機能であって、メインではないんですね。
ゲームプレイが先で、Web3は後からってことですか?
その通りです。Gods Unchainedという成功例は、基本プレイ無料で参入できて、NFTの所有は収益を強化する追加オプションに留めています。
Chapter 5 日本企業の動向と規制環境
日本の大手ゲーム会社はWeb3に対してどういう姿勢なんですか?
意外なことに、SEGA、スクウェア・エニックス、コナミといった大手が日本ブロックチェーンゲーミング協会を設立して、積極的に関与しているんです。
大手が協会を作っているんですか。本気なんですね。
この協会は法規制、会計、税制の課題解決を目的にしています。委員長はCoincheckの社長、副委員長はスクウェア・エニックスの役員が務めているんですよ。
税制って、暗号資産の税金は高いって聞きましたけど。
いい質問ですね。現在、日本の暗号資産税は最大55パーセントの累進課税なんですが、2026年から20パーセントのフラット税に変更される可能性があります。
55パーセントから20パーセントはかなり違いますね。それが実現すれば状況は変わりそう。
そうなんです。日本市場は2026年から2027年にかけて状況が改善する可能性があります。ただし、改善であって、必ずしも成功しやすくなるわけではありません。
Chapter 6 インディー開発者への提言
結局、インディーゲーム開発者はWeb3に参入すべきなんでしょうか?
正直に言うと、Web3への新規参入は現時点では非推奨です。93パーセントの失敗率と高い複雑性を考えると、リスクが大きすぎます。
かなり厳しい見方ですね。でも、もし参入するならどうすればいいんでしょう?
まず、ゲームプレイ・ファーストの原則を徹底することです。NFTやトークンなしでプロトタイプを作り、ゲームとして面白いか検証してからブロックチェーン要素を追加する。
普通のゲーム開発と同じように、まず面白いゲームを作ることが先ということですね。
そうです。あと、興味深いのは、インディーや中小チームが2026年にはアクティブプレイヤーの70パーセントを占める見込みだということです。大作より小規模で機敏なチームの方が有利なんですね。
へえ、大きいことが有利ってわけじゃないんですね。
Ember Swordの300億円調達失敗が良い例です。50億ドルの予算より、50万ドルでアジャイルに開発するチームの方が成功確率が高いという分析もあります。
Chapter 7 クロージング
さて、今日のポイントをまとめましょう。Web3ゲーミングは93パーセントが失敗する厳しい市場です。新規参入は現時点では推奨しません。
でも、日本市場は2026年から改善する可能性があるんですよね。
その通りです。税制優遇や規制緩和で状況は好転する可能性があります。参入するなら、従来のゲームで成功した後の多角化オプションとして検討するのが現実的でしょう。
ゲームプレイが先、Web3は後から。これが生き残る秘訣ってことですね。
はい。93パーセントの失敗から学べる教訓は、ゲームの本質を忘れないことです。技術ではなく、体験を売るという原点に戻ることが大切です。
今日はWeb3ゲーミングの現実について、とても参考になりました。リスナーの皆さんも、判断の材料にしていただければと思います。
それでは、また次回のエピソードでお会いしましょう。さようなら。
さようなら!