スクリプト
Chapter 1 オープニング
皆さんこんにちは。インディーゲーム開発者のためのポッドキャストへようこそ。今日は非常に重要なテーマ、VRゲーム市場の現状と今後についてお話しします。
タカシさん、こんにちは。VRって一時期すごく盛り上がってましたよね。Meta Questとか、Apple Vision Proとか。今どうなってるんですか?
実は、ここが今日のポイントなんですが、VR市場は2023年から3年連続で縮小しています。結論から言うと、現時点でのVR市場への新規参入は推奨しません。
えっ、縮小してるんですか?それは驚きですね。具体的にどれくらい減ってるんでしょう?
Chapter 2 VRヘッドセット販売の急落
数字を見ていきましょう。2022年には約1010万台売れていたVRヘッドセットが、2023年には770万台、2024年には690万台と減り続けています。
2022年から2023年で24パーセントも減ったんですね。パンデミックの特需が終わったということでしょうか?
その通りです。さらに2025年は、VRヘッドセット単体で前年比17パーセントから43パーセントの減少が見込まれています。特に注目すべきは、Meta以外の主要プレイヤーが軒並み撤退・縮小傾向にあることです。
Meta以外が撤退ですか。具体的にはどんな企業が?
ByteDanceのPicoは2023年に従業員60パーセント、約1000名を削減しました。Sonyも2024年2月に900名のレイオフを行い、VR向け主力スタジオのLondon Studioを閉鎖しています。
PSVR2を作ったSonyまでそんな状況なんですね。
Chapter 3 Metaの苦境とスタジオ閉鎖
ここが面白いんですが、市場の王者であるMeta自身も苦戦しています。Reality Labs部門は2020年以降、累計で700億ドル、日本円で約10兆円以上の損失を出しています。
10兆円!?それでも続けてるのは、メタバースへの賭けということですか?
それが、2026年1月にはReality Labs従業員の約10パーセント、1500名が削減されました。さらに、VRゲームスタジオも次々と閉鎖されています。
どんなスタジオが閉鎖されたんですか?
Asgard's Wrathを作ったSanzaru Games、Resident Evil 4 VRのArmature Studio、そしてEcho VRシリーズのReady At Dawnなど、名だたるスタジオが閉鎖されました。
それは大きな損失ですね。MetaはVRから撤退するんでしょうか?
完全撤退ではありませんが、重心がVRからAIウェアラブルへシフトしています。Ray-Ban Metaのようなスマートグラスが3倍成長していて、そちらに注力する方向ですね。
Chapter 4 キラータイトル不在の問題
ソフトの面ではどうなんですか?ハードが売れないのはソフトがないからという話もよく聞きますけど。
まさにその通りです。VR市場最大の問題は、2020年のHalf-Life: Alyx以降、市場を牽引するキラータイトルが存在しないことなんです。
5年以上もキラータイトルがないんですか。GTA San Andreas VRみたいな大作の話もありましたよね?
残念ながら、GTA San Andreas VRは2024年8月に無期限保留と発表されました。Valveも公式に「新規VRゲームは開発していない」と明言しています。
Half-Life 3のVR対応という噂もありますけど、あれは期待できないんですか?
あくまで噂レベルで、未確認です。Steam Frameという新しいVRヘッドセットと一緒に発表されるという話もありますが、公式発表はありません。期待しすぎないほうがいいでしょう。
Chapter 5 インディー開発者の厳しい現実
大手がこんな状況だと、インディー開発者はどうすればいいんでしょう?逆にチャンスがあるとか?
驚くべきことに、2025年のデータでは、Steam VRで10万本以上売れた新規有料タイトルはわずか4本だけでした。年間650本リリースされた中でですよ。
4本!?つまり成功率は0.6パーセントくらいということですか。
その通りです。さらに厳しいのは、最もプレイされているVRゲームのトップ50のうち、2025年発売のタイトルはたった1本だけ。既存タイトルが市場を独占している状態です。
でも、Gorilla Tagみたいな成功事例もありますよね?
いい指摘ですね。Gorilla Tagは累計1億ドル、約150億円以上の収益を上げています。ただし、これは無料プレイでソーシャル要素があり、TikTokでバイラル拡散した極めて特殊なケースです。
つまり、有料タイトルではなくF2Pじゃないと成功しにくいということですか?
まさにその通りです。現在、F2Pゲームがquest利用時間の70パーセントを占めていて、有料タイトルの収益は減少傾向にあります。
Chapter 6 採算分岐点と開発コスト
実際にVRゲームを作るとしたら、どれくらいの費用がかかるんですか?
シンプルなプロトタイプなら1万5000ドルから3万ドル、日本円で約200万から450万円程度。中規模インディーだと5万から15万ドル、約750万から2000万円くらいです。
採算を取るには何本売ればいいんでしょう?
プラットフォーム手数料が30パーセント、税金等を考えると開発者の手取りは約55から60パーセントになります。3万ドルの開発費で20ドルの価格なら、約2700本売る必要があります。
2700本。それは達成できる数字なんですか?
正直に言うと、VRインディーゲームの中央値収益は非VRタイトルより40パーセント低いんです。採算分岐点を達成できるのは全体の10から20パーセント、75から85パーセントは赤字で終わります。
Chapter 7 参入を検討していい条件
じゃあ、VRには絶対参入しない方がいいんですか?何か参入してもいいケースはあります?
いくつかの条件を満たせば検討の余地はあります。まず、既存の2Dゲームにマルチプラットフォーム対応でVRモードを追加する場合。これは追加投資として合理的です。
なるほど、VR専用ではなくオプションとしてのVRですね。
そうです。あとは、F2Pのソーシャルゲームを3万ドル以下で検証する場合、フィットネスや瞑想など非ゲーム領域のアプリ、そしてVR開発経験を積むことが主目的の場合ですね。
逆に、絶対に避けるべきケースは?
VR専用タイトルとして10万ドル以上の大規模投資をする場合、初めてのゲーム開発プロジェクトでVRを選ぶ場合、そしてQuest以外のプラットフォームをメインにする場合は避けてください。
Chapter 8 クロージング
さて、今日のポイントをまとめましょう。VR市場は2023年から3年連続で縮小中、Meta以外の大手は撤退傾向、キラータイトルも不在です。
インディー開発者としては、現時点での新規参入は避けて、2Dゲームでの成功を優先すべきということですね。
その通りです。2026年後半まで様子を見て、Steam Frameや Android XRなど新しいプラットフォームの動向を観察することをお勧めします。市場が回復すれば、そのときに参入を検討しても遅くありません。
VRの夢は終わったわけではないけど、今は冬の時代ということですね。リスナーの皆さんはVR開発についてどう思いますか?ぜひ感想を聞かせてください。
それでは、また次回のエピソードでお会いしましょう。さようなら。
さようなら!