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Episode 111

中国市場で成功するインディーゲームマーケティング戦略

13分 8チャプター 日本語
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スクリプト

Chapter 1

オープニング

タカシ

皆さんこんにちは、ゲーム開発者のためのマーケティングポッドキャストへようこそ。今日は、日本のインディーゲームスタジオが中国市場でどう成功できるか、という非常に興味深いテーマをお届けします。

ミカ

タカシさん、こんにちは。中国市場って、なんとなく大きいのは知ってるんですけど、実際どれくらい重要なんですか?

タカシ

実は、ここが今日のポイントなんですが、Steamの言語シェアで中国語がなんと33.7パーセントを占めているんです。英語を上回っているんですよ。

ミカ

えっ、英語より多いんですか?それは驚きですね。

タカシ

さらに2025年2月には、中国ユーザー比率がなんと50パーセントを超えました。Steamユーザーの半分以上が中国からなんです。

Chapter 2

成功事例:NEEDY GIRL OVERDOSEとパルワールド

タカシ

では、具体的な成功事例を見ていきましょう。まず、NEEDY GIRL OVERDOSE、日本語タイトルは「電脳少女は夢を見るか?」ですね。

ミカ

あ、あのゲーム知ってます。配信者さんがよくプレイしてましたよね。中国でも人気だったんですか?

タカシ

驚くべきことに、このゲームの売上の51パーセントが中国からなんです。300万本以上売れた中で、半分以上が中国市場からの収益なんですよ。

ミカ

51パーセント!それはすごいですね。どうしてそんなに売れたんでしょう?

タカシ

面白いのは、実は当初このゲームは日本市場向けに作られていたんです。でも発売数日後に、中国からのウィッシュリストが14万件に達して、日本の2倍になったんですね。

ミカ

えーと、ウィッシュリストって何ですか?

タカシ

Steamでユーザーが「このゲーム欲しい」と登録する機能ですね。購入意欲の指標になります。で、開発チームはすぐに中国市場向けのマーケティングに方向転換したんです。

ミカ

柔軟に対応したんですね。パルワールドはどうだったんですか?

タカシ

パルワールドも中国が最大市場で、プレイヤーの約35パーセントが中国からでした。推定で500万本以上が中国で売れています。

ミカ

それも相当な数字ですね。

タカシ

ここが面白いんですが、Pocketpairの開発者は「プレイヤーの3分の1が中国からだとは全く予想していなかった。全員が驚いた」とインタビューで語っています。

Chapter 3

なぜBilibiliが重要なのか

タカシ

さて、中国マーケティングで最も重要なプラットフォームの一つが、Bilibiliです。

ミカ

ビリビリって聞いたことあります。中国版YouTubeみたいなやつですよね?

タカシ

そうですね、動画プラットフォームなんですが、特徴が違います。月間アクティブユーザーが3億7600万人、1日の平均滞在時間がなんと112分なんです。

ミカ

112分って、2時間近くですよね。すごいエンゲージメントですね。

タカシ

しかも、ユーザーの80パーセント以上がZ世代で、ACG、つまりアニメ・コミック・ゲーム愛好者が中心なんです。

ミカ

ACGって、アニメ、コミック、ゲームの略ですね。日本のコンテンツと相性が良さそう。

タカシ

まさにその通りです。Bilibiliは日本アニメの最大輸入プラットフォームの一つでもあるので、日本発のゲームにとっては最適な場所なんですよ。

ミカ

なるほど。じゃあ、どうやってBilibiliを活用すればいいんでしょう?

タカシ

意外なことに、YouTubeやTikTokとは違って、Bilibiliはアルゴリズムによるブーストではなく、コミュニティと推薦に基づいて動画が広まります。

ミカ

へえ、それは面白いですね。具体的にはどういうことですか?

タカシ

つまり、「たくさん投稿する」より「少なく高品質」が有効なんです。週に1から2回の動画投稿で、弾幕コメントを誘発するようなコンテンツを作ることが大切です。

ミカ

弾幕コメントって何ですか?

タカシ

ダンムーと呼ばれる機能で、動画の画面上にコメントが流れる仕組みです。ニコニコ動画をイメージしてもらえればわかりやすいですね。これがエンゲージメントの鍵になります。

Chapter 4

他のSNSプラットフォームとの使い分け

ミカ

Bilibili以外にも使えるプラットフォームってあるんですか?

タカシ

もちろんです。中国には独自のSNSエコシステムがあります。主要なのは、Douyin、Weibo、WeChatですね。

ミカ

Douyinって、TikTokの中国版ですよね?

タカシ

そうです。1日6億人以上が使っていて、リーチは最も広いんですが、ゲームとの相性という意味ではBilibiliには劣ります。60秒制限があるので、ゲームの深さを伝えにくいんですね。

ミカ

じゃあ、認知を広げるのには使えるけど、深い理解には向かないってことですか?

タカシ

その通りです。予算配分の目安としては、Bilibiliに40から50パーセント、Douyinに20から30パーセント、Weiboに15から20パーセント、WeChatに5から10パーセントくらいが推奨されています。

ミカ

なるほど、Bilibiliが中心になるんですね。

Chapter 5

中国市場の注意点と規制

タカシ

さて、ここからは少し注意が必要な話をしましょう。中国市場には独自の規制があります。

ミカ

規制ですか。ちょっと心配になりますね。

タカシ

安心してください。Steam経由での配信は現時点では規制の対象外なんです。ただし、コンテンツには気をつける必要があります。

ミカ

どんなコンテンツがダメなんですか?

タカシ

例えば、骸骨、ゾンビ、幽霊といった表現は制限されています。あと、政治的に敏感な内容、特定の暴力表現や性的表現も注意が必要です。

ミカ

骸骨がダメなんですか?RPGとかだと結構出てきそうですけど。

タカシ

そうなんです。だから、グローバル版と中国版を分けて、骸骨を肉付きのキャラに差し替えるといった対応をしているゲームもあります。

ミカ

なるほど、事前に確認しておくことが大事ですね。

Chapter 6

ローカライズとKOL活用

タカシ

次に、ローカライズの重要性についてお話ししましょう。これは本当に大きな差を生みます。

ミカ

ローカライズって、翻訳するだけじゃダメなんですか?

タカシ

いい質問ですね。データによると、ローカライズなしでは68から90パーセントの顧客を失うと言われています。逆に、中国語対応すると収益が30パーセント以上増加するケースもあります。

ミカ

90パーセント失うって、ほとんど全部じゃないですか。

タカシ

そうなんです。あるゲームは中国語を追加した後、たった1週間で生涯売上の45パーセントを獲得したという事例もあります。

ミカ

それはすごいですね。KOLについても教えてください。何度か出てきましたけど。

タカシ

KOLはKey Opinion Leaderの略で、インフルエンサーのことです。中国マーケティングでは非常に重要な役割を果たします。

ミカ

費用はどれくらいかかるんですか?

タカシ

目安としては、フォロワー1万から10万のマイクロKOLで1投稿2000円から2万円程度。フォロワー100万超えのトップKOLだと20万円以上になります。

ミカ

結構幅がありますね。どう選べばいいんでしょう?

タカシ

実は、最もROIが高いのはマイクロKOLを複数活用する戦略なんです。エンゲージメント率が高く、コスト効率も良い。あと、VTuberとの相性が特に良いですね。

Chapter 7

予算と始め方

ミカ

気になるのは予算ですよね。インディースタジオとして、どれくらいあれば始められるんでしょう?

タカシ

最小規模なら5000ドルから1万5000ドル、日本円で80万円から240万円程度で始められます。これでローカライズと数名のUP主へのアプローチができます。

ミカ

UP主って何ですか?

タカシ

Bilibiliのコンテンツクリエイターのことです。YouTuberみたいなものですね。彼らに動画を作ってもらうことで、ゲームの認知を広げられます。

ミカ

自分たちでやるのと、パートナーを使うのと、どちらがいいんでしょう?

タカシ

小規模スタジオなら外部パートナーをお勧めします。現地のノウハウやKOLとの関係を持っている代理店を活用した方が効率的です。時差の問題もありますしね。

Chapter 8

クロージング

タカシ

さて、今日のポイントをまとめましょう。中国市場はSteamの最大市場になっており、日本のインディーゲームにとって大きなチャンスがあります。

ミカ

Bilibiliが中心になるということと、ローカライズが重要ということですね。

タカシ

その通りです。NEEDY GIRL OVERDOSEやパルワールドの事例が示すように、意外なところから大きな成功が生まれることもあります。柔軟に対応することが大切です。

ミカ

中国のファンは本当に熱心だって話でしたもんね。

タカシ

はい。パルワールドの開発者も「中国のファンは信じられないほど素晴らしい」と言っていました。皆さんもぜひ、中国市場へのアプローチを検討してみてください。

ミカ

今日は中国マーケティングについて、とても勉強になりました。リスナーの皆さんはどう思いましたか?ぜひ感想を教えてくださいね。

タカシ

それでは、また次回のエピソードでお会いしましょう。さようなら。

ミカ

さようなら!