スクリプト
Chapter 1 オープニング
皆さんこんにちは、インディーゲーム開発者のためのビジネスポッドキャストへようこそ。今日は非常に興味深いテーマ、Epic Games Store専売契約について徹底分析します。
タカシさん、こんにちは。Epic専売って、なんか大金がもらえるイメージがあるんですけど、実際どうなんですか?
実は、ここが今日のポイントなんですが、Tim Sweeney自身が「多くの独占契約は良い投資ではなかった」と認めているんです。Epicの社長がですよ。
えっ、Epic側がそう言ってるんですか?それは意外ですね。
そうなんです。でも成功した事例もあれば、大失敗した事例もある。今日はその両方を分析して、皆さんが判断できるようにお話しします。
Chapter 2 成功事例:HadesとSatisfactory
まず成功事例から見ていきましょう。最も有名なのはSupergiant GamesのHadesです。
Hades、大好きです!あれってEpic専売だったんですか?
はい、2018年12月から約1年間、Epic Games Storeのローンチタイトルとして独占発売されました。早期アクセス期間中にEGSで70万本を売り上げています。
70万本!それはすごいですね。Steamに出た後はどうだったんですか?
ここが面白いんですが、Steam正式リリース後3日でさらに30万本追加。累計で770万本、推定収益は1億3000万ドル以上になっています。
つまり、Epic専売期間があっても、その後Steamでも成功したってことですね。
その通りです。実はSupergiantは前作Pyreが商業的に振るわなかったので、Epic契約で開発資金を安定化させたという背景があります。これは小規模スタジオにとって重要な視点ですね。
なるほど。他に成功した例はありますか?
Satisfactoryも良い例です。工場建設シミュレーションで、EGSで3ヶ月で50万本以上、1年間で1150万ドルの収益を上げました。Epicが認めた「唯一の完全成功例」です。
唯一の完全成功例?それって、他は失敗してるってことですか?
鋭いですね。実は大半のゲームは最低保証額を上回る売上を達成できていないんです。詳しくは後で説明しますね。
Chapter 3 大失敗事例:Phoenix PointとOoblets
さて、ここからは失敗事例を見ていきましょう。まず、Phoenix Pointという戦術ゲームの話です。
どんな問題があったんですか?
このゲームはFigというクラウドファンディングで4万7000人から資金を集めていたんですが、開発終盤でEpic専売を発表したんです。最低保証額は200万から225万ドル。
クラウドファンディングで支援した人たちはどうなったんですか?
それが大問題になりました。支援者にはSteam版を約束していたので、裏切りだと大炎上。返金要求率は5から6%、発表動画には5000以上のDislikeがつきました。
それは...ひどいですね。訴訟とかにはならなかったんですか?
詐欺として訴訟を検討する支援者もいたようです。ここから学べる教訓は明確で、クラウドファンディングで資金を集めた場合、Epic専売は極めてリスキーということです。
他にも失敗した例はありますか?
Oobletsというゲームの事例は、また違った意味で悲惨でした。2人チームの開発者が数万件のハラスメントを受けることになったんです。
えっ、ハラスメントですか?何が起きたんですか?
専売発表の際に、開発者が皮肉や挑発的な文章を使ったんです。「Epic専売が嫌なら買わなくていい」みたいなトーンで。それがコミュニティを刺激してしまいました。
コミュニケーションの仕方が問題だったんですね。
結果的に、人種差別、性差別、殺害予告まで含む大規模ハラスメントを受けることに。2人チームには過大なストレスでした。Epic自身がハラスメントを非難する声明を出すほどの事態になりました。
Chapter 4 Epic専売を断った開発者の話
逆に、Epic専売を断った開発者もいるんですか?
興味深い事例があります。DARQというホラーパズルゲームのソロ開発者、Wlad Marhuletsさんの話です。
どういう経緯だったんですか?
Steam発売日を発表した3日後に、Epicから独占契約の提案があったんです。でも彼は断りました。理由は「私の言葉には意味がある」と。
かっこいいですね。つまり、一度約束したことを守りたかったと。
その通りです。彼はMediumに詳細を公開していて、Epicからは「非独占は選択肢にない」と言われたそうです。短期的な金銭より長期的な評判を重視した判断ですね。
確かに、一度信頼を失うと取り戻すのは難しいですもんね。
Chapter 5 契約条件の変遷と0%プログラム
さて、ここからは契約条件の変遷について見ていきましょう。実は2024年以降、状況が大きく変わっています。
どう変わったんですか?
従来の独占契約は、最低保証額をもらえる代わりに12ヶ月間Epic専売という形でした。でも、Darkest Dungeonの開発者は「ゴールドラッシュは終わった」と表現しています。
ゴールドラッシュが終わった...つまり、もう大金はもらえないと?
その通りです。代わりにEpicは新しいプログラムを始めました。2025年6月からは、EGS独占であれば年間100万ドルまで手数料0%というプログラムです。
0%!Steamは30%ですよね。それはかなりの差ですね。
はい。ただし、これは独占が条件です。最大の問題は、EGSの市場シェアが収益ベースで約3%しかないこと。Steamは約75%です。
3%と75%...それは全然違いますね。手数料が安くても、売れる場所が小さいと意味がないような。
まさにそのトレードオフなんです。EGS専売時、同時発売と比べてEGSの売上はSteamの3から5%程度というデータもあります。
Chapter 6 専売すべき状況・避けるべき状況
結局、Epic専売はどういう場合に検討すべきなんでしょうか?
いい質問ですね。専売を検討すべき状況は限られています。まず、本当に資金が尽きそうな場合。最低保証額で開発を継続できるなら、検討の価値があります。
資金難の時のセーフティネットみたいなものですね。
その通りです。あとはUnreal Engine使用者。0%プログラムとの相性が良いです。それから、ニッチジャンルでSteamでも売れない可能性があるなら、保証額が安全策になります。
逆に、避けるべき状況は?
これは明確です。クラウドファンディングで資金を集めた場合、絶対に避けるべき。Steam発売日を既に発表している場合も同様。信頼性を失います。
Phoenix PointやDARQの例を見ると、よくわかりますね。
あと、大規模売上が見込める場合も避けた方がいい。Steam市場の方が圧倒的に大きいので。コミュニティ重視のゲームも、Steamのフォーラムやワークショップが使えなくなるのは痛手です。
Chapter 7 2025年以降の推奨戦略
じゃあ、2025年以降、どういう戦略がベストなんでしょうか?
結論から言うと、「Epic専売」よりも「Epic併売プラス0%プログラム活用」がベストです。独占しなくても、EGSで売った分は100万ドルまで0%の恩恵を受けられます。
あれ、0%プログラムって独占が条件じゃなかったですか?
いい指摘です。正確には、EGS独占の場合は100%収益、非独占でも88%です。Steamの70%と比べれば十分有利ですよね。
なるほど、両方で売って、両方の市場を取る作戦ですね。
はい。具体的な順序としては、まずSteam優先でウィッシュリスト構築。発売6ヶ月前から。次にEGS同時発売、そしてGOGも追加してDRMフリー需要に対応する形がいいでしょう。
マルチプラットフォームが基本になるんですね。
Chapter 8 クロージング
さて、今日のポイントをまとめましょう。Epic専売契約は、財務的安定性と市場リーチ制限のトレードオフです。
HadesやSatisfactoryのような成功例もあるけど、Phoenix PointやOobletsのような失敗例もあると。
その通りです。特に重要なのは、クラウドファンディング支援者がいる場合や、既にSteam発売を発表している場合は、専売契約を避けるべきということ。
2025年以降は0%プログラムを活用しつつ、マルチプラットフォーム戦略がベストなんですね。
はい。Tim Sweeney自身が認めたように、独占契約の「ゴールドラッシュ」は終わりました。でも、賢く活用すればEpicの高い収益分配率は武器になります。
今日はEpic専売について、とても勉強になりました。リスナーの皆さんはEpic専売についてどう思いますか?ぜひ感想を教えてくださいね。
それでは、また次回のエピソードでお会いしましょう。さようなら。
さようなら!